外保連、ロボット手術の増点「生存率の向上などのデータ必要」(5月16日)
外科系学会社会保険委員会連合は5月16日の記者懇談会で、令和4年度診療報酬改定の見解を示すとともに、ロボット支援手術の評価について報告した。岩中督会長はロボット支援手術の増点について、生存率の向上など科学的根拠に則ったデータが必要との認識を表明した。
令和4年度診療報酬改定について岩中会長は、「今回の改定は大変に厳しいものだった。改定率は本体プラス0.43%だが、看護職の処遇改善のための特例的な対応に0.20%だったことから実質は0.23%である。財務省はコロナの補助金でかなりの病院が黒字になっているために診療報酬は厳しくてもいいのではないかという考えだったが、補助金と定例の診療報酬を一緒にしてもらったらたまったものではない。現場では技術料がなかなか上がらないで悔しい思いをしているのが正直なところだ」と述べた。
外保連は目指す方向性として、「手術試案と実際の手術料の乖離の大きい手術の評価」「技術料と材料費を明確に分離評価」「手術・処置の休日加算・時間外加算・深夜加算の施設基準の緩和」などとともに、「ロボット支援手術の適応拡大と新規ロボット承認の考え方」をかかげている。
ロボット支援技術の令和4年度診療報酬改定の特徴としては、①耳鼻科領域で初の保険適用となる②NDBデータを活用して検証した結果、食道がん、胃がん、直腸がんの術者要件の5例以上の経験を有する医師の配置要件が削除された③いろいろなデータに基づき胃がん手術のロボット支援手術は、通常の腹腔鏡下手術よりも成績がいいことから初めて加算がついた―をあげた。
胃がん手術では、例えば腹腔鏡下胃全摘術8万3090点に対し、ロボット支援下内視鏡手術は9万8850点が新設された。 胃がんのロボット支援技術の増点について岩中会長は、「最大の理由は腹腔鏡下手術よりも生存率が明らかによかったことだ。がん手術で生存率の向上は絶対的な根拠になる。一方、直腸がんと食道がんも増点要望したが、合併症リスク低下の評価では増点には至らないと判断された。厚労省の基本スタンスは、科学的根拠に則って有用性を見た上で評価したいというものだ。今後とも科学的根拠に則ったデータをつけて増点要望していく」と述べた。