柔整療養費委員会が明細書の義務化や償還払いの変更を議論(1月31日)
社会保障審議会医療保険部会の柔道整復療養費検討専門委員会は1月31日、柔道整復療養費の適正化として①明細書の義務化、②患者ごとに償還払いに変更できる事例、③療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組みについて議論した。
明細書の義務化では、厚労省案について保険者側は賛成したものの、施術者側は財政支援が必要と主張。療養費の改定と併せて議論することになった。
厚労省案では、明細書発行機能があるレセコンを使用している施術所は、患者から一部負担金を受けとる際に、患者本人から不要の申し出があった場合以外は、無償で患者に交付するとした。明細書発行機能がないレセコンを使用している施術所とレセコンを使用していない施術所は従前通り、患者から明細書の発行を求められた場合、患者に交付(有償可)する。明細書をレジスターで印刷して、不足する内容は手書きで記入することを認めるなど施術所の負担軽減措置も示した。
保険者代表は、連合や中医協の調査結果から7~8割の人は診療明細書が必要と答えているため、早急な実施を要請。一方、施術者側は、柔整の施術所は医療機関のように事務職員もおらず過重な負担になることから費用負担を求めた。
患者ごとに現行の受領委任払いから償還払いを変更できる事例については、厚労省が具体例として、①柔道整復師自身による自己施術の療養費の支給申請が行われた柔道整復師である患者②柔道整復師の家族や関連施術所の開設者・従業員に対する自家施術を繰り返し受けている患者③保険者が繰り返し患者照会を行っても回答しない患者④複数の施術所で同部位の施術を重複して受けている患者⑤その他施術が療養上必要な範囲・限度を超えている可能性のある患者―の5つを示した。
⑤のその他については、3か月を超えて月に10回以上の施術を継続するなど「非常に長期にわたり、かつ、非常に頻度が高い施術を受けている患者」をあげた。
保険者側は厚労省案に賛同したが、施術者側は慎重な検討を求めた。
そのため、健保連の幸野庄司委員は「厚労省案でいいと思うが、具体的な手続きを示さないと決着できないだろう。受領委任規定や留意事項通知の案を出してもらい、次回には決定してほしい」と発言し、厚労省事務局も「必要であれば準備する」と回答した。
一方、療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組みについては、厚労省が現時点のイメージ案を提示した。
今後議論して方向性を定めるものとした上で、◇施術管理者は審査支払機関に療養費を請求する◇審査支払機関は柔整審査会で審査を行った上で、施術管理者に療養費を支払う◇併せてオンライン請求を導入する―を示した。
また、検討スケジュール案として、2月に審査支払機関からヒアリングをした後、4月まで療養費の請求・審査・支払手続きやオンライン請求の導入、費用負担、実施スケジュールなど各論の議論を行う。6月には方向性をまとめ、7月から施行に向けた議論をスタートするとした。
国保中央会の中野透委員は「オンライン請求に向けては支給申請書など書面の取り扱や様式を変えていかなければならないし、事務処理も標準化していかなければならない。さらにシステムを整備していく。これらを行うためには、それ相当の時間や手間がかかる。われわれの国保総合システムにも療養費を載せていくことになるが、令和6年度に更改が予定されているため、それに載せるのはほぼ不可能である。その先は令和8年度に更改となるが、審査支払システムはわれわれと支払基金が共同開発して共同利用していくスキームとなっており、これらの調整が必要になってくる。検討スケジュールはフレキシブルに対応してほしい」と述べた。