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謎の新興国アゼルバイジャンから|#23 【番外編】「パーティ文化」の話 その1 会話編

香取 照幸(かとり てるゆき)/アゼルバイジャン共和国日本国特命全権大使(原稿執筆当時)

※この記事は2018年4月24日に「Web年金時代」に掲載されました。

みなさんこんにちは。
本稿は外務省ともアゼルバイジャン大使館とも一切関係がありません。全て筆者個人の意見を筆者個人の責任で書いているものです。内容についてのご意見・照会等は全て編集部経由で筆者個人にお寄せ下さい。どうぞよろしくお願いします。

パーティは人脈作り・情報収集の大使の超重要任務

アゼルバイジャンに赴任したのは去年のノヴルズ明けだったので、新米大使も赴任1年となりました。
今回は「着任1周年記念」ということで、今回と次回に分けて、大使生活の中で感じた話、「パーティ文化=パーティの作法」の話をしたいと思います。
軽い話ですから、気楽に読んでください。

パーティとはいうまでもなく「社交」の場です。大使にお声のかかるパーティ・レセプションの類はここアゼルバイジャンでもそれこそ毎週のように開催されます。
そもそも各国大使館は少なくとも年に一度、大使主催のナショナルデーレセプションをやりますから、大使館の数だけ(こんな小国でも70以上)レセプションがあります。それ以外にも各大使が開催するパーティ(公邸招宴のような正式なもの以外でもfriendly dinner、 cocktail party、 new year party、farewell party、Christmas party等々いろんなパーティがあります)、コンサート、美術展、文化行事などの各種イベントや政府主催の記念日行事でのレセプション、大学やシンクタンク、民間団体のパーティ、charity party、 garden party等々、フォーマル・インフォーマル、音楽付き、ダンスあり等々、趣向も形式も規模も様々なパーティがそれこそ目白押しで開催されます。

こういうと、「大使なんて毎日パーティ出てお酒飲んで遊んでるんだろ」と言われそうですが、どうしてどうして。この「パーティ」ってやつが実に曲者で、これをちゃんとこなせないと人脈も作れませんし情報も取れません。お酒飲んで酔っ払ってる暇なんてありません。

昨年の初夏に開催された英国ナショナルデーレセプション。
ホテルの屋外プールサイドで開催されました。こういう趣向も大事です。

2月に開催されたHOMS(大使夫人会)主催のワインパーティ。各国がブースを出して自国のワインを持ち込んで振る舞う、入場料はチャリティに寄付というもの。参加者は250人ほど。音楽が流れ奥の方ではみんな踊ってます。大使夫人会主催とはいえ各国とも大使自ら自国ブースに立って客に自国ワインを勧めていました。日本大使は日本ブースの前でフランス大使と談笑中。「日本のワイン美味しいわね」と(外交辞令とはいえ)褒められたし、各国大使館関係者や任国要人たちへの日本のワインの紹介にもなった(しかも美味しいとかなり評判になりました)ので、一応成功と自負(笑)。

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