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謎の新興国アゼルバイジャンから|#18 医療を市場経済に任せるとどうなるか

香取 照幸(かとり てるゆき)/アゼルバイジャン共和国日本国特命全権大使(原稿執筆当時)

※この記事は2018年1月23日に「Web年金時代」に掲載されました。

みなさんあけましておめでとうございます。
本稿は外務省ともアゼルバイジャン大使館とも一切関係がありません。全て筆者個人の意見を筆者個人の責任で書いているものです。内容についてのご意見・照会等は全て編集部経由で筆者個人にお寄せ下さい。どうぞよろしくお願いします。

多様性と寛容のアゼルバイジャンの年末年始

みなさまお正月はいかがお過ごしでしたでしょうか。

ここアゼルバイジャンは「多様性と寛容の社会」です。年末のクリスマスの時期は日本と同じように街のあちこちにクリスマスツリーが飾られクリスマスソングが流れていました。各国大使の多くは、ムスリム諸国の大使を含め多くがクリスマス休暇でいなくなりました。

この時期、私は気を遣って「Merry Christmas」ではなく「Happy Holidays」と挨拶するようにしていましたが、どうもそんな気遣いは不要のようでした。

私は仕事納めまで働いて年末年始休暇をいただきましたが、年明けにバクーに戻ってもまだ街のあちこちにクリスマス飾りが残っていました。不思議に思って現地職員に聞いてみると、「ロシア正教会のクリスマスは旧暦で祝うので1月7日がクリスマスになります。それまでは街はまだクリスマスシーズンです」とのこと。

そうこうしているうちに、ロシア正教会本部からクリスマスレセプションの案内が届きました。1月8日開催。当日は政府関係者や休暇明けの各国大使が(もちろんムスリム諸国の大使も)参加して普段通りの賑やかなパーティになりました。

私の感覚ではこれ、「新年会」でした(笑)。

会場で「店子仲間」のイスラエル大使に会ったので新年の挨拶をすると、「イスラエルでは1月1日は休日じゃないんだ。もちろんイスラエルにもクリスチャンもいるしムスリムもいるので彼らは休むけど、政府機関は休みじゃない。ここにいれば休めるけどね(笑)」とのこと。どうもユダヤ教では新暦(グレゴリオ暦)の1月1日は休日にはならないようです。本当かな?

新年の祝い方もそれぞれで、日本のように静かに家族で新年を迎える、というのは少数派で、多くの社会では大晦日の深夜に大パーティをやってカウントダウンをします。私は某ムスリム国で新年を迎えましたが、大晦日は夕方から街中に人が繰り出して賑やかに騒ぎ、新年と同時に派手に花火が打ち上げられました。他方、サンクトペテルブルクで新年を迎えたというオーストリア大使の話によると、かの地では大晦日の深夜は実に静かで誰も街に出ていなかったそうです。何もしないのかと思っていたら、深夜の3時過ぎになって市民が街に繰り出し始め、そこからお祭り騒ぎになったそうです。

とても面白い話だったので、来年はもう少し諸国事情を調べてみたいと思いました。

アゼルバイジャンは旧ソビエト連邦時代から医療サービスを無料で提供

さて。ところで。

昨年末、某民放放送局でアゼルバイジャンを紹介する旅行番組があったそうです。

レポーターがアゼルバイジャンにやってきてあちこちの観光地やこの地の国情を紹介し、その中で、「アゼルバイジャンは産油国、金満国家で医療も義務教育も無料、なんと素晴らしい」という話があったと聞きました。

確かにそれは半分事実ですが、半分は事実ではありません。

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