見出し画像

年金・税金 わたしの相談事例 公開します|#11 入社月に退職したら社会保険料は

◆同月得喪(どうげつとくそう)とは?

最近は売り手市場が影響してか、短期間で転職を繰り返して、より良い条件の職場で働きたいと考える方も多いようで、せっかく入社してもあっけないほど早く退職してしまうケースがずいぶん増えたように感じるのは、私だけではないのではないでしょうか。

会社側はその方を採用するために手間も時間もかけ、場合によっては人材紹介料金も支払って期待を持って迎え入れるわけですから、退職の意思表示にほんとうにガックリされ、傍から見ていても何ともお気の毒で残念なことです。

このような短期間での入退職のうち、入社月にその資格を喪失することを同月得喪と呼びますが、今年の春先に私の関与先でも2件ありました。

今回は、この同月得喪の場合の社会保険料の取扱いについて、平成27年の改正事項も踏まえて詳しく見ていきたいと思います。

まずは2つの事例のご紹介です。

どちらも入社後ほどなく私が社会保険加入の手続きをし、健康保険証もすでに交付されていました(最近は資格取得届提出から保険証の交付まで、驚くほど早くなりましたね!)。

実際の日付とは少し違いますが、どちらも4/1入社→4/20退職(資格喪失日は4/21)として話を進めます。

〈ケース①〉 S社のKさんの場合
・給与計算は会社の担当者が行っており、私は随時改定の確認などのために、後日結果だけを受け取っている
・5月下旬に計算結果のデータが届き、確認するとKさんの4月分の給与から厚生年金保険料が控除されていなかった。それで担当者に問い合わせたところ、「ネットで調べたら、こんなケースは厚生年金保険料は発生しないとの記事を見つけたので、天引きしませんでした」とのこと
・そこで私から担当者に「本来は…」と制度を説明

〈ケース②〉 I社のYさんの場合
・私が給与計算を代行している
・4月分の給与支給後に、Yさんから会社に「厚生年金の保険料が引かれていましたが、知人から私のような場合はかからないと聞いたので、返してください」との連絡があった
・会社から私に問い合わせがあり、制度や今後の対応について説明

◆社会保険料徴収の原則

次に、2つの事例は少し横に置いておいて、実際の制度はどうなっているのでしょうか。

ここから先は

2,168字 / 3画像

¥ 100

期間限定!PayPayで支払うと抽選でお得

社会保険研究所ブックストアでは、診療報酬、介護保険、年金の実務に役立つ本を発売しています。