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#26 遺族厚生年金の請求が認められなかった内縁の妻のケース

石渡 登志喜(いしわた・としき)/社会保険労務士・年金アドバイザー

今回は、戸籍上の妻のいない内縁の妻のケースです。重婚的内縁関係でなくても、事実婚関係が認められなければ、遺族年金を請求することはできません。ポイントは夫婦の共同生活と認められる事実関係を「成立させようとする合意」があること、その事実関係が「存在すること」の2点です。では、具体的に見ていきましょう。


【事例概要】
死亡者:A男さん(昭和33年10月20日生まれ:64歳)
・特別支給の老齢厚生年金の受給権者
・戸籍上の妻はいない
・令和5年6月2日、病死

請求者:B子さん(昭和36年9月28日生まれ:61歳)
・A男さんの内縁の妻と申立て
・令和5年6月16日、年金事務所に来所

戸籍上の妻のいない亡夫の「内縁の妻」が遺族厚生年金を請求

令和5年6月16日、A男さんが特別支給の老齢厚生年金を受給中に病死したとのことで、内縁の妻というB子さんが遺族厚生年金の請求に来所されました。
老齢厚生年金の受給権者が死亡した場合、死亡した者の配偶者で、当該死亡の当時、死亡者によって生計を維持した者には、遺族厚生年金が支給されます。
死亡者によって生計を維持した配偶者とは、死亡者と生計を同じくしていた配偶者で、年額850万円以上の収入または年額655万5000円以上の所得を将来にわたって有すると認められる者以外のものとされています。

<根拠条文・通知>
・厚生年金保険法第58条第1項第4号、第59条第1項及び第4項
・厚生年金保険法施行令第3条の10
・「生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて」(平成23年3月23日年発0323第1号厚生労働省年金局長通知 以下「23年通知」という)

また、厚年法第3条第2項により、上記の「配偶者」には、婚姻の届出をしていないが、事実上、婚姻関係と同様の事情にある者を含むとされています。
 
来所されたB子さんの話や年金記録によると、A男さんは死亡の当時、厚生年金被保険者期間が約36年あり、長期要件の老齢厚生年金の受給権を満たしています。遺族年金の死亡者の要件を満たしていることは明らかです。

また、B子さんの持参された戸籍謄本によると、A男さんと婚姻している妻はいないこと、また請求人であるB子さんとA男さんも婚姻の届出をしていなかったことははっきりしています。
ただし、A男さんとB子さんの住所が異なっているので、B子さんがA男さんの死亡当時、同人によって生計を維持した配偶者(事実婚関係にある者)と認めることができるかどうか、確認する必要があります。

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