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介護助手の活用や予備介護福祉士制度の創設を求める─経済同友会が介護保険の見直しを提言(10月22日)

経済同友会は22日、提言「希望ある超高齢社会を支える介護の枠組み」を公表した。

大きく①介護人材を惹きつける方策②サービスの質の向上に資する「自立の支援」のための公的枠組みの見直し③事業者のサービス提供体制の効率化─の3つの観点から、介護現場の課題解決に向けて意見を述べており、介護助手の活用を主張している。

さらに今般の新型コロナウイルス感染拡大を受けて「予備介護福祉士制度」の創設も求めている。

インセンティブとして「介護助手従事者控除」の創設を

このうち①では、介護の専門職が利用者と向き合い、専門業務に集中するために、専門性を要しない掃除などを担う「介護助手」を活用することをあらためて提案した。さらに介護助手として就労することへのインセンティブとして、「介護助手従事者控除」を創設を提言した。

保険者が認定する介護助手として1年以上、平均して週12時間以上20時間以下就労した場合、当該業務で得た収入を課税対象所得に含めない。控除の創設は、公的年金の所得区分を給与所得に変更し、公的年金等控除を給与所得控除に一本化することを前提としている。

②では、まず自立支援に取り組む自治体を応援するため、保険者機能強化推進交付金の使途限定を撤廃することをあげた。交付金の評価指標は、介護人材確保や自立支援・重度化防止などの重要課題にウェイト付けした配点にすることを提案。またADL維持等加算について、現状の算定率の低さの改善のため、より加算の対象を拡大するとともに、単位数を増やすこととした。

③では、夜間配置加算における見守り機器で代替可能な職員の比率を上げることを提案。また高齢者施設と保育園の併設の効率的運営を促進するため建築基準法を改正し、厨房等の設備の共用を可能にするとした。

軽度の利用者がサービス付き高齢者向け住宅を利用することで社会保障費の削減効果があることを指摘。具体的に要介護1~3の特定施設入居者15万人と特養入所者の要介護3程度の15万人がサ高住に転居すれば、概算で年間2700億円程度の社会保障支出の削減効果があるとの試算を紹介している。その上で政府に対して補助金や固定資産税・不動産取得税の軽減措置等の継続を求めている。さらに介護サービス需要の増加の地域差を考慮して都市部等における優遇措置の強化も検討すべきとしている。t

加えて、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえ、国に対して①緊急時の人材不足に対応する「予備介護福祉士制度」の創設や①事業継続計画(BCP)の策定の促進を求めている。

「予備介護福祉士制度」とは、今回のような大規模感染症発生時には、介護施設等の複数の職員が陽性化してサービス提供を維持できなくなることを想定し、介護事業所の人手不足が急激に深刻化する事態が発生した際に、あらかじめ研修等を受講した予備介護福祉士を国が緊急で派遣する制度。予備介護福祉士は、通常は別の仕事に従事していても緊急事態には介護に従事。国が定める研修を登録時及び年間5日間程度は継続的に受講し、介護サービスにかかる知識等を身につけておくとしている。

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