同一労働同一賃金の遵守の徹底―令和5年度の是正指導件数が大幅増
厚生労働省は7月12日、令和5年度に実施したパートタイム・有期雇用労働法に関する是正指導件数などを公表した。
それによると、正社員と非正規雇用労働者との同一労働同一賃金(均等・均衡待遇関係)に関する是正指導件数は計3,450件となり、前年度(404件)から大幅に増加していたことがわかった。
政府は同一労働同一賃金の遵守の徹底を図るため、令和4年12月から都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に加え、労働基準監督署による事実関係の確認などの取り組みを進めている。その結果、実態を把握した企業数自体が1万1,173社と、前年度(3,498社)から急増。是正指導件数の増加につながったものと見られる。
同省によると、同一労働同一賃金(均等・均衡待遇関係)以外も含めたパートタイム・有期雇用労働法に関する是正指導件数は全体で2万515件。前年度(5,574件)から約4倍に増加した。
指導事項の内容を見ると、労働条件の文書交付等(第6条第1項関係)4,751件、措置の内容の説明(第14条第1項関係)3,059件、短時間・有期雇用管理者の選任(第17条関係)2,607件などが多く、同一労働同一賃金(均等・均衡待遇)の関係では、不合理な待遇の禁止(第8条関係)が2,596件で最も多かった。
職場のパワーハラスメントに関する相談件数も急増
他方、雇用環境・均等部(室)に寄せられた相談件数で急増しているのは、労働施策総合推進法における職場のパワーハラスメントに関する相談だ。
令和5年度の相談件数は前年度(4万6,149件)から30.1%増加して6万53件となり、過去最多を更新した。同日公表された民事上の個別労働関係紛争における相談でも令和5年度の「いじめ・嫌がらせ」の相談件数(6万113件)は6万件を超えており、高止まりしている状況が見られる。