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三宅社労士の年金実務セミナー|#22 2025年の年金制度改正について(後編)

三宅 明彦 (みやけ あきひこ)/社会保険労務士

今回は、年金制度改正の主な論点について、前回に引き続き紹介します。障害年金の見直しや第3号被保険者や加給年金の在り方、また繰上げ・繰下げなどに関する論点を説明していきます。

なお、前回の連載で「遺族厚生年金等の見直しに関連する論点」を扱いましたが、その後、7月30日の社会保障審議会・年金部会で具体案が出ましたので、まずはその内容を紹介します。 


(1)遺族厚生年金等の見直しに関連する論点~最新の具体案

7月3日の年金部会では、論点として「現役期の子のない妻に対する遺族厚生年金の有期化」や「遺族厚生年金における受給権発生に係る年齢要件の男女差の解消」「加算における男女差の解消」などが挙がっていました。
 
こうした論点に対し、7月30日の年金部会では、遺族厚生年金については男女ともに「5年間の有期給付」を軸とし、妻のみに加算されていた中高齢寡婦加算や国民年金の寡婦年金を廃止して「有期給付加算」を創設するなどの具体案が出てきました。

現行制度では、30歳以上(夫と死別時)の「妻」は生涯、遺族厚生年金を受給できます(妻自身の老齢厚生年金との調整はあります)。それが「5年間」に限られるのですから、非常に大きな見直しです。

一方、これまで妻と死別時に「55歳以上」に限られていた夫の年齢要件や、収入要件を(夫・妻ともに)廃止する案が出てきました。これにより遺族厚生年金の受給対象が拡大します。

もちろん、有期化や寡婦加算・寡婦年金の廃止が決まった場合でも、相当な時間をかけて段階的に進めていく、と厚生労働省は説明しています。
 
加えて、死亡者との婚姻期間中の厚生年金(標準報酬)を分割する「死亡時分割」(仮称)の創設や、子に対する遺族基礎年金の支給停止規定の見直しなど、これまでになかった新しい見直しもあります。
 
なお、養育する子がいる世帯や高齢期の夫婦、改正時に既に受給権が発生している場合の遺族厚生年金については見直しを行わず、現行制度を維持するとしています。 

では、以下に7月30日の年金部会で出てきた具体案のポイントを記します。

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