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科学的介護情報システム(LIFE)の利活用で手引きが作成される

「ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き」がこのほど、作成された。厚生労働省の老人保健健康増進等事業によるもので、三菱総研のホームページからダウンロードすることができる。手引きは随時更新されており、6月23日に6月10日版が公表された。

手引きによりケアの質の向上を支援

手引きでは、LIFE(https://life.mhlw.go.jp/)へのデータ提出方法や、主な入力項目の評価方法、フィードバック票の活用、Q&Aなどを紹介している。厚労省の告示や通知、事務連絡を踏まえている。介護施設・事業所におけるケアの質の向上に向けた取組を支援する狙いがある。

厚労省は、利用者の状態の改善等に向け、科学的な裏付けに基づいた自立支援・重度化防止の取組を進める上で、データ収集や分析、その情報のフィードバックを行うシステムの構築を促進してきた。

リハビリテーション関連のデータ収集システムのVISITを2016年度から、高齢者の状態・ケア関連のデータ収集システムのCHASEを2020年度から運用してきた。両システムを今年4月から一体的に運用するのにあたり、科学的介護情報システム(Long-term care Information system For Evidence;LIFE)と名称を統一した。

LIFEでは、サービス提供にあたり計画書の作成等が要件になっている加算において、PDCAサイクルに基づくケアの質の向上を一層推進していく。全国の介護施設・事業所で作成・記録されている利用者の状態やケアの実績等のデータをLIFEで収集・蓄積。蓄積に基づくフィードバック情報を計画書等の改善に活かしていく。

LIFEの活用等が要件に含まれる加算は、施設系・通所系・居住系サービスを中心に導入されている。たとえば新たに創設された「科学的介護推進体制加算」では厚労省へのデータ提供とそのフィードバック情報の活用そのものが算定要件になっている。


入力項目と評価方法、フィードバック票の活用などを紹介

LIFEへのデータ提出は、データ連携が可能な介護記録ソフト等を導入している場合、ソフトで入力したデータをCSVファイル形式で出力しLIFEに取り込むことが可能だ。ただ、利用しているソフトがLIFEに未対応である場合や、計画書の作成等を紙で運用している場合は、LIFEの画面からデータを直接入力する必要がある。LIFEには入力したデータを計画書等の様式で印刷する機能が付いており、データ提出を行うと同時に、加算の算定に必要な様式を作成することができる。

手引きでは、対応する各加算の様式ごとに入力する項目とともに、評価方法を紹介している。たとえば科学的介護推進体制加算やADL維持等加算など複数の加算で提出が求められるADLの評価は「Barthel Index」(BI)の測定方法を参考に行う。BIは、日常生活動作を評価する指標であり、「食事」「移乗」「整容」など10項目で構成。自立・全介助・部分介助などの状態に応じて配点し総計は最高で100点、最低で0点になる。なおBIの測定方法については、YouTubeの厚生労働省チャンネルでも解説の動画を公開している(バーセルインデックス(BI)の評価方法について)。

5月10日までにデータを提出した介護施設・事業所に対しては6月22日以降、フィードバック票のダウンロードが可能になった。

フィードバック票は事業所票と利用者票の2種類から構成。手引きでは活用目的・活用例を紹介している。事業所票では、施設・事業所の利用者増の把握やケアの実施状況・ケアの結果の把握、さらにケアの在り方の見直しなどが例示されている。利用者票では事業者票と同様にケアの実施状況・ケアの結果の把握とともに、利用者・家族への説明、職員間での利用者情報の共有などが示されている。

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