関係団体からのヒアリングが終了ーー企業年金・個人年金部会
厚生労働省の社会保障審議会企業年金・個人年金部会(部会長=森戸英幸・慶應義塾大学大学院法務研究科教授)は6月28日、前回に引き続き関係団体からヒアリングを行った。この日は、信託協会、生命保険協会、日本年金数理人会がヒアリングに出席し、DB(確定給付企業年金)とDC(確定拠出年金)の積立金にかかる特別法人税の撤廃などを求めた。
信託協会は、DBが退職金由来であることから、拠出上限額を設定することや中途引き出しの原則禁止といった制限を講じることがないよう要請した。企業型DCについては、従業員拠出を事業主拠出と切り離し、すべての国民共通の「自助」拠出枠を設定するほか、この見直しに至るまでの経過的取り扱いとして事業主拠出額を超えた従業員拠出を可能にすることを提案した。また、厳格な要件が定められているDCの脱退一時金の支給要件について追徴課税等を条件とする要件緩和を求めた。個人型確定拠出年金(iDeCo)については、最低拠出額5,000円を撤廃することや、DB実施企業においてiDeCoプラスを実施可能にすること、第3号被保険者がiDeCoに加入する場合に生計を一にする配偶者等の課税所得から控除できるようにして国民年金基金と同様の扱いとすることなどを提案した。
生命保険協会は、定年延長時に伴いDBを設計変更すると、多くのケースが給付減額に該当することについて、旧定年時の給付額が下がらないといった要件を満たす場合は減額に該当しないこととするほか、労働組合や加入者から給付減額の同意手続を取るときには不同意の申し出をする方式にすることを提案した。また、DCについて元本確保型(確定年金・終身年金)の積極的な活用を検討することを要望した。DBやDC、他制度からの一時金で年金などの商品を即時購入する場合は非課税とすること等を求めた。
日本年金数理人会は、DB・企業型DC・iDeCoで異なっている加入可能年齢を統一することや、中小企業退職金共済制度から企業年金への持ち運びに対する制限の撤廃を求めた。DC拠出限度額については、上限や上限の算定方法を見直すことなどを要請。DBとDCの保証期間を延長することや、DB制度に退職金制度で認められている転職支援制度を導入すること、DB制度で終身年金制度を導入した場合に財政的な負担増が生じたときなどは法人税軽減などを行うことなどを提案した。
関係団体からのヒアリングはこの日で終了となり、厚労省はこれまで行ったヒアリングで出された論点を次回示し、部会で議論を深めていく予定だ。