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介護保険部会、通いの場や要介護認定で方向性(11月24日)

社会保障審議会の介護保険部会は11月24日、前回に引き続き「地域包括ケアシステムのさらなる深化・推進」をテーマに議論した。厚労省からは通いの場や認知症施策、地域包括支援センターの体制整備、要介護認定などについて方向性が示された。次回28日には「給付と負担」を議論する。

社会保障審議会介護保険部会(2022年11月24日)資料

厚労省は通いの場・一般介護予防事業の検討の方向性について、①感染防止に配慮しつつ活動再開や参加率向上を進める②医療や介護の専門職の関与を推進する②参加できない高齢者を介護予防・見守りの取組みにつなげるためのさまざまな手段・機会を活用した働きかけを推進する―を提案。

認知症施策では、各目標の進捗状況の評価を踏まえ、進捗状況が低調な項目の対応策の検討を求めた。地域包括支援センターの体制整備については、センターが果たすべき役割に応じて適切に業務を行えるよう体制整備と業務負担軽減を推進するとともに、センター以外にも介護予防支援の指定対象の拡大の検討を提案した。

要介護認定では、新規申請と区分変更申請の有効期間について現行の6か月を原則12か月に、上限を現行の12か月から24か月に延長する令和3年度地方分権改革提案に対する意見を求めた。

全国老人保健施設協会の東憲太郎委員は、通いの場についてフレイルの高齢者の参加が難しいことから「フレイル対策にしっかり取り組むべきだ」と述べた。認知症施策については認知症初期集中支援チームの進捗状況の達成率が低いことを指摘し、「チームのほとんどが困難事例対応チームになっているのが実態である。チームの名前や役割を再考し、実態にあったものにしてほしい」と要望した。包括支援センターについては「設置されて長い年月が経ち、現場や役割も変化している。現状にあった体制にしてほしい」と述べた。

要介護認定の有効期間については「有効期間を延長すると軽度化の情報が追えなくなるため、いたずらに延ばすことには反対する。有効期間の延長で保険者の事務負担を軽減するのではなく、ICTやAIの活用によって効率化・短期化を図ってほしい」と述べた。

要介護認定の有効期間延長に反対意見「きめの細かい認定が必要」

日本医師会の江澤和彦委員は、通いの場について「感染予防に配慮して活動を再開すべきで、第8波の終了後から取り組むべきだ。その際には専門職の支援も必要になるが、地域の医師会などの関係団体と連携することが重要だ」と述べた。

地域包括支援センター以外の介護予防支援の指定対象の拡大については「対象事業や費用などの問題をバランスよく考えながら取り組む必要がある」と述べた。

要介護認定の有効期間延長については「要介護認定は介護保険の根幹をなすもので、認定された要介護度に応じてサービスが提供される。要介護度3の人の3割、要介護度4の人の4割、要介護度5の人の5割が2年後には亡くなっている現実があり、きめの細かい要介護認定が必要だ」と述べ、反対した。一方、要介護認定の主治医意見書のデータベース化が必要であることを主張した。

日本看護協会の齋藤訓子委員は、通いの場については再開を求めるとともに、「専門職の関与は重要な施策である」と述べた。

地域包括支援センターの体制整備では、「センター業務の質の担保の観点から、職員配置の要件緩和については慎重にすべき。専門職の確保が困難であれば、間接業務のサポートの職員を採用して事務作業の切り分けを検討すべきだ」と提案した。

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