調剤業務の一部外部委託の提案に慎重意見相次ぐ(7月13日)
厚労省の「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」は13日、調剤業務の一部外部委託などを議論した。
厚労省の「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」は、「薬剤師が地域で活躍するためのアクションプラン」と題する報告書を提示し、調剤業務のうち「一包化」を外部委託することを提案したが、検討会委員からは慎重な意見が相次いだ。
ワーキンググループの報告書は、薬剤師が対人業務により注力できるよう、調剤業務のうち「一包化」を外部委託できるようにするための要件などを示している。これは、政府が6月に閣議決定した規制改革実施計画で、一定の薬剤に関する調整業務の外部委託を可能にする方向が盛り込まれたことを受けての対応。現時点では、調剤業務の外部委託は薬機法で認められていないので、外部委託を可能にするには法改正が必要となる。
ワーキンググループの報告を受けた検討会の委員からは、外部委託に懸念を示す意見が相次いだ。
日本薬剤師会の安部好弘委員は、「医療安全が確実に守られるのか。対物業務の効率化が図られれば、対人業務の充実につながるのか。外部委託により発生する二重の作業や設備投資の費用が賄えるのか」と疑問を投げかけた。「外部委託に依存した薬局が、薬局として果たすべき使命や本来担う機能を維持・存続できるのか。委託先から業務の引き受けを断られたらどうなるのか。さまざまな影響が考えられる」と述べ、慎重な対応を求めた。
日本精神科病院協会の野木渡委員は、「医薬分業で医療費は減らなかったが、調剤業務の一部委託で医療費はもっと上がるだろう。(薬剤師1人当たり)処方箋1日40枚程度なら、一包化も(委託せず)やってもらいたい。それが地域に根差した薬局のあり方だ」と主張した。