日医が糖尿病治療薬のダイエット使用に懸念(6月17日)
日本医師会の今村聡副会長は6月17日の会見で、糖尿病治療であるGLP-1受容体作動薬が個人輸入や美容クリニックなどでやせ薬として不適切に使用されている実態に懸念を示した。同薬剤の経口薬が、近く国内承認されることを踏まえて警鐘を鳴らした。
インターネット上では「GLP-1ダイエット」と称して広告を出し、自由診療として使用している事例がみられることを指摘し、「健康な人が医薬品を使用するリスク、医薬品適正使用の観点から、こうした行為は禁止すべきだと考えている」と主張した。
同医薬品の副作用として、下痢や便秘、吐き気などの胃腸障害のほか、妊娠している可能性のある女性には投与しないこと、低血糖や膵炎、腸閉塞などのリスクがあることを紹介し、「国民の健康を守るべき医師が治療の目的から外れた使い方をすることは、医の倫理にも反する」と批判した。
一方、「不適切使用をしている医療機関に納入している卸売業者あるいは製薬企業が存在しているので、流通業界にも課題があると思う。厚労省に対しては、医薬品の適正な流通確保を要望していきたい。また、医療広告ガイドラインから外れた表記が散見しているため、特にインターネット上で横行している不適切な医療・医薬品広告の取り締まりの強化も関係部局に申し入れを行いたい」と述べた。