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医療法人の経営状況データベース構築に向け初会合 厚労省は経営状況把握の重要性を強調(10月19日)

医療法人の経営状況の実態を把握するためのデータベース構築に向け、厚労省の「医療法人の経営情報のデータベースのあり方に関する検討会」が、10月19日に初会合を開催した。

来年度のデータベース構築が求められており、新たな制度による経営情報の提出は、来年度の可能な範囲での早期に開始する予定だ。このため、検討会は今年中には一定の考えをまとめる。座長には、田中滋・埼玉県立大学理事長が選出された。

データベース構築の目的は、医療法人の監督・指導を目的とする事業報告書等とは異なることから、両者は別制度であることを明確にしている。データベースでは個別の医療法人は特定されない。

一方、医療法人の事業報告書等のデジタル化については、電子化した事業報告書等を都道府県のホームページなどで閲覧できるようにすることがすでに決まっている。2021年4月~2022年3月を会計年度とする事業報告書以降等の事業報告書等は、医療機関等情報支援システム(G-MIS)への電子媒体のアップロードによる届出が可能になる。都道府県のホームページなどでの閲覧は来年度以降。

これにより、全国の医療法人の事業報告書等の情報は、すべて電子化された状態で国に蓄積され、全国規模のデータベースが構築される。厚労省は、次の点を理由としてデータベース活用の必要性を強調した。

  • 新型コロナの感染拡大でも、医療機関支援などの政策を進めるためのエビデンスとしての医療機関の経営状況が把握できなかった

  • 医療法人は、運営の透明性が求められており、運営状況を明らかにすることにより、医療が置かれている現状と実態を把握することができる

データベースを構築し、医療法人の経営情報を把握・分析できれば、これらの状況を改善できる。また、「医療従事者の処遇の適正化に向けた検討」や診療報酬改定の参考となる医療経済実態調査の補完が可能になるという。医療機関にとっても、マクロデータを自院の経営指標と比較することで、経営課題の分析に活用できる。

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