遺族年金のしくみと手続~詳細版|#17離婚後も同居していた元妻は遺族厚生年金を受給できるか?
今回は、法律上は離婚したもののそのまま元夫婦の同居が継続し、元夫が死亡して元妻が遺族厚生年金を請求するケースをご紹介します。こうしたケースは遺族年金の請求においてよく見られます。元夫の死亡時、元妻が内縁関係にあったかどうかの判断基準を具体的に確認していきます。
内縁関係にある場合の遺族年金
厚生年金保険の被保険者であったAさんが令和4年7月26日に死亡したとのことで、その元妻でAさんとは内縁関係にあったらしいB子さんが遺族厚生年金の請求に来所しました。
厚生年金保険の被保険者であって、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上ある者が死亡したときは、当該死亡した者(以下「適格死亡者」という。)の配偶者であって、適格死亡者の死亡の当時、適格死亡者によって生計を維持したものに遺族厚生年金が支給されます。
配偶者には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含むとされます。また、適格死亡者によって生計を維持した者とは、適格死亡者と生計を同じくしていた者であって、年額850万円以上の収入または年額655万5000円以上の所得(以下、上記の収入額又は所得額を「基準額」という。)を将来にわたって有すると認められる者以外のものとされています。
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