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HER2陽性の乳房外パジェット病に患者申出療養(5月21日)

厚労省の患者申出療養評価会議(福井次矢座長)は5月21日、新規技術「トラスツズマブ エムタンシン静脈内投与療法」の実施計画等を検討し、患者申出療養としての実施を了承した。

今回認められたのは、HER2陽性の手術不能または再発乳房外パジェット病の患者に、トラスツズマブ エムタンシン(販売名カドサイラ、中外製薬)を投与する治療。

この治療にかかる費用の総計は約259万円で、そのうち患者申出療養にかかる費用は約250万円。薬剤は製薬メーカーが無償で提供するため、患者負担額は69万7595円となっている。  

HER2陽性で、トラスツズマブ静脈内投与がすでに行われた乳房外パジェット病患者を主な対象症例とする。治療は、慶應義塾大学病院で行う。実施計画では、予定症例数は16例としている。

同会議では、トラスツブマブ エムタンシンの副作用として間質性肺炎がみられることから、新型コロナウイルス感染症との鑑別に留意が必要などの意見が出された。  

同日の会議では、すでに患者申出療養としての実施が認められている「マルチプレックス遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく分子標的治療」について、実施計画を変更する方向も了承した。

がん遺伝子パネル検査後に、分子標的薬の適応外利用を希望しても治療が受けられない患者の求めに迅速に応じるため、複数のがんや遺伝子異常に対応可能な形式で作成された実施計画のもと、昨年10月より患者申出療養がスタートしている。現行の実施計画では小児患者は対象外だが、今後、小児患者から患者申出療養を実施したいとの申出がなされることが想定される。申出があった場合に迅速に治療を始められるよう、実施計画の変更を行う方針だ。原則として、小児患者には、小児に対する用法・容量が存在する適応外薬を患者申出療養で使用する方向。

平成28年4月から患者申出療養制度がスタートしているが、まだ小児患者の申出により実施された治療はない。

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