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労働者協同組合という働き方|#7 労働者協同組合の就労期間について

勝島 一(かつしま はじめ)/コア・コム研究所㈱主席フェロー

*この記事は2022年4月28日に「Web年金時代」に掲載されました。

前回は労働者協同組合におけるシフト管理について取り上げましたが、今回は就労期間について考えたいと思います。

労働者協同組合法では、労働者の就労に関する現状について、第1条で以下のように記載しています。
「この法律は、各人が生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就労する機会が必ずしも十分に確保されていない現状等を踏まえ(略)多様な就労の機会を創出することを促進するとともに(略)」(太字は筆者)

現状は、意欲及び能力に応じて就労する機会が必ずしも十分に確保されていない、との認識が示されています。

これは様々な場面が想定されると思いますが、高齢社会を鑑みると、定年退職後も働きたいけれど、その機会がないという場面も含まれるものと思われます。高年齢者雇用制度の改正等もあり、高年齢者の就業割合は高まってきていますが、高齢社会の進行に向けてさらに就労環境の充実が求められていると考えています。

数字で見る少子高齢社会

日本の少子高齢化について数字を使って考えてみます。子供が少なく高齢者が多くなる状況を指標で把握します。

総務省統計局のホームページを参照すると、年齢構造に関する指標として、次が示されています。

年少人口指数=(15歳未満人口)/(15~64歳人口)×100
老年人口指数=(65歳以上人口)/(15~64歳人口)×100
従属人口指数=(15歳未満人口+65歳以上人口)/(15~64歳人口)×100

上の3つの式は、分母はすべて15~64歳人口(これを「生産年齢人口」と言います。)になっています。1番目の年少人口指数は、生産年齢人口に対する年少人口(15歳未満人口)の割合を表しています。同様に、老年人口指数は、生産年齢人口に対する老年人口(65歳人口)の割合です。最後の従属人口指数ですが、分子は年少人口と老年人口の合計ですので全人口のうち生産年齢人口以外となります。生産年齢人口を扶養する層、それ以外を扶養される層と見做すと、1人で扶養する人数の割合ということになります。

これらの指数を1947年~2065年までグラフにしたものが下の図です。グラフはそれぞれの指数を面で表しており、年少人口指数(グラフ中の「年少」の面)の上に老年人口指数(「老年」の面)を乗せる形で描いています。2つの面を合わせたものが従属人口指数となっています。2020年以降は予測値です。

(2015年までは総務省「国勢調査」および「人口推計」、2020年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果を基に筆者作成)

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