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在宅医療・介護連携推進事業の推進で、新たな手引き(Ver.3)を公表(9月2日)

厚労省は9月2日、地域支援事業における「在宅医療・介護連携推進事業」の手引きを改訂して新たな手引き(Ver.3)をホームページに公表するとともに、その旨を厚労省老健局老人保健課長名で都道府県等に通知した。

新たな手引き(Ver.3)は、在宅医療・介護連携推進事業の取り組みについて、PDCAサイクルによる推進を強化するなどの観点から見直されている。

参考 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000666660.pdf

地域の実情に応じて柔軟な実施を可能に

在宅医療・介護連携推進事業は、①地域の医療・介護の資源の把握②在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討③医療・介護関係者の研修④切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進⑤関係者の情報共有の支援⑥関係者に関する相談支援⑦地域住民への普及啓発⑧連携推進に関する関係市区町村との連携─の8つの事業項目で構成される。

他方で、「8つの事業項目を行うこと自体が目的になっているのではないか」などの指摘もある。そのため厚労省は、地域の目指す切れ目の無い在宅医療・介護提供体制を構築するために、地域の実情に応じた柔軟な取り組みを行う上で一部の事業選択を可能とするとともに、PDCAサイクルによる事業の推進を強化するなどの見直しを図る考えだ。

同事業の8つの事業項目は介護保険法施行規則に規定されている。このうち⑧関係市区町村との連携については、都道府県(保健所等)が支援していくこととし、施行規則の事業項目から削除する考え。施行規則の事業項目の表記は4つに整理する予定だ。

こうした見直しを前提に、手引きは改訂されている。

実践事例やコラムも紹介

新たに示された手引き(Ver.3)は、大きく▽第1章・事業概要▽第2章・市町村における事業の進め方▽第3章・都道府県の市町村に対する支援・▽第4章・参考(参考資料等)─の4章建てになっている。

在宅医療・介護連携推進事業におけるPDCAサイクルに基づく取り組みについては従来の手引きでも紹介していたが、新たな手引き(Ver.3)では第2章でより詳細に記載されている。

特に医療と介護の連携した対応が求められる①日常の療養支援②入退院支援③急変時の対応④看取り─の4つの場面について、PDCAサイクルに沿った取り組みを紹介。さらに取り組みの前提として把握するデータの例や、取り組みの計画と評価で活用できる項目例も多く示した。加えて、事業全体の評価項目を挙げている。

このうち①日常の療養支援における計画と評価で活用項目例には、「かかりつけ医が認知症疾患医療センターを紹介した割合」「認知症疾患医療センター受診後の情報提供の割合」「初期集中支援事業から医療・介護サービスにつながった者の割合」が含まれている。認知症の人の支援における連携について評価することに留意を促している。

各取り組みにおいて、市町村での実践例も合わせて紹介したり、「本人の意思を最大限に尊重する看取りの推進」や「本人の望む場所に退院できるまちにするために(展開例)」などのコラムも掲載している。

新たな手引き(Ver.3)では、従前より都道府県による市町村の支援の重要性を明確化。第3章では、都道府県による事業の各取り組みにおける支援とともに、静岡県による医療・介護データ等の活用支援や富山県による入退院調整などの具体的事例も紹介している。

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