見出し画像

年金・税金 わたしの相談事例 公開します|#3 同一生計の家族の社会保険料の控除

今はまさに年末調整のピークで、関与先事業所から届いた申告書のチェック、入力作業、結果の確認等に追われる日々です。
「給与所得者の保険料控除申告書」をチェックしていると、本人以外の家族の社会保険料を社会保険料控除の対象として申告しているケースもあります。もちろん同一生計等の一定の条件を満たしていればその申告は有効で、本人の税負担を減らすことができますが、この対象となる範囲が意外と知られていなかったり、「なぜ?」と思う取り扱いになっていたりします。そこで今回は、具体的にはどういうケースが対象となるのか、3つの事例をもとにしくみを詳しく見ていきたいと思います。

<ケース①>
高齢の親の社会保険料についての、年末調整の事例です。
80代の母親と同居している50代のK夫さんから、母親の後期高齢者医療制度の保険料の申告がありました。この申告については支払ったことを証明する書類の添付は不要ですが、念のために事業所の担当者に下記のいずれかを確認していただくように依頼しました。
・K夫さんの母親の公的年金から天引きされている
・K夫さんが自分の口座からの振替によって支払っている

結果は後者だったので、K夫さんの社会保険料控除の対象として処理しました。K夫さんは自分が控除を受けられる方法をちゃんとご存じだったようです。一般的には、収入が年金だけの母親より現役サラリーマンのK夫さんのほうが所得税の税率が高いので、K夫さんが社会保険料控除を受けた方が家計としての節税効果は大きくなります。

【ポイント】
後期高齢者医療制度の保険料の納付方法は、本人が老齢・退職年金等を年額18万円以上受給している場合等は、原則として特別徴収(年金からの天引き)になりますが、市区町村に手続きをすることにより、普通徴収(口座振替または納付書による納付)に切り替えることができます。口座振替の場合は、世帯主・配偶者等の家族の口座を指定することも可能で、その場合は口座名義人が社会保険料控除を受けることができます。

それでは65歳以上の人の介護保険料はどうでしょう?
実は介護保険料の徴収方法については、介護保険法第135条および介護保険法施行令第41条により、第1号被保険者(65歳以上)で老齢・退職年金等を年額18万円以上受給している場合は特別徴収となることが規定されており、被保険者が特別徴収か普通徴収かを選択できる制度にはなっていません。したがって家族が社会保険料控除を受けることもできません。この点が後期高齢者医療制度とは異なるためわかりづらく、よく質問を受けるポイントです。

ただし、年金額が18万円未満の場合や年金を繰下げしている場合等は介護保険料は普通徴収になり、本人以外の口座からの振替も可能なため、そのような場合は家族が社会保険料控除を受けることも可能です。

ここから先は

1,459字 / 3画像

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

社会保険研究所ブックストアでは、診療報酬、介護保険、年金の実務に役立つ本を発売しています。