見出し画像

「アセットオーナー・プリンシプル」の受入表明は9月末時点で17機関

政府が8月に策定した、アセットオーナーが受益者の最大利益を勘案して行動すべきであるとした「アセットオーナー・プリンシプル」に対して受入表明をしたアセットオーナーは9月末時点で17機関である、と内閣府が発表した。

内閣府が発表した「アセットオーナー・プリンシプル」を受入表明したアセットオーナーは以下の通り。

出所:内閣官房「「アセットオーナー・プリンシプル」の受入れを表明したアセットオーナーのリスト

リストを見ると、公的アセットオーナーがそろった感がある。国民年金基金連合会は、「加入者及び受給者の最善の利益を勘案して、積立金を運用する責任(フィデューシャリー・デューティー)を果たしていく上で有用と考えられるアセットオーナー・プリンシプルの趣旨に賛同し、本プリンシプルにおける全ての原則を受け入れます」と、受入を表明している。

内閣官房が令和6年3月に公表した「アセットオーナー・プリンシプル策定に向けた基礎資料」によると、アセットオーナーとしては、年金運用を行う主体、生命保険会社等の主体、大学等の資金運用を行っている主体等、様々な主体が考えられる、として、その数は約1万1,600を数える。そのなかで、プリンシプルの受入表明が17機関とは、全体の約0.1%となる。
大学等の資金運用を行っている主体とされた大学は、全国に754のうち、同プリンシプルを受入表明した大学はリストにはないが、筑波大学は、9月19日に受入表明をサイト上で公表している。
大学については、「予算主義により年度の予算が決まっている中、確定的な利回り確保のため、単年度的なインカム指向に偏ってしまう」、「少子化の中で大学を取り巻く環境が厳しくなり、運用したいができない・資金がない状況が発生。大学経営上、一定の現預金を確保したい面もあり、資金を持たない大学が運用に変わる機運が将来的にも生じづらいのでは」と問題点を指摘する向きもある。
「アセットオーナー・プリンシプル」には法的な受入義務はないが、今後増加することが望まれる。


社会保険研究所ブックストアでは、診療報酬、介護保険、年金の実務に役立つ本を発売しています。