令和2年は養護者による高齢者虐待が過去最多(12月24日)
厚労省は12月24日、高齢者虐待防止法に基づく、令和2年度の高齢者に対する虐待への対応状況に関する調査結果を公表した。介護施設等の従事者による虐待の相談・通報件数と虐待判断件数はともに減少した一方、家族等の養護者による虐待判断件数は増加し、相談・通報件数は過去最多となった。
市町村への相談・通報件数は、養介護施設従事者等(介護老人福祉施設、居宅サービス事業等の業務に従事する者)によるものが2097件で、前年度より170件(7.5%)減少した。養護者によるものは3万5774件で、前年度より1717件(5.0%)の増加。養護者による虐待の相談・通報件数は過去最多で、8年連続増加傾向にある。
高齢者虐待と認められた件数は、養介護施設従事者等によるものが595件で、前年度より49件(7.6%)減少。調査開始以降初の減少となった。養護者によるものは1万7281件であり、前年度より353件(2.1%)増加した。
今回の調査結果について、厚労省は「養介護施設従事者等による虐待件数に関しては、令和元年と比べて家族・親族の通報の割合が減少しており、新型コロナウイルスによる入所施設等における面会制限等が影響しているものと考えられる。養護者による虐待については、警察等からの通報の割合が増加した点では、コロナ禍でも通報の必要性が浸透したものと考えられる一方、外出自粛や介護サービスの利用控えなどを背景に虐待が増えた可能性がある」との見解を示した。