日医と知事会、新型コロナ5類変更へ共同声明(2月8日)
日本医師会と全国知事会は2月8日、意見交換会を開き、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への変更について共同声明をまとめた。
医療機関の感染防御対策に対する支援、診療報酬の加算の一定期間の継続、病床確保料など病床の確保のための支援の継続、診療報酬制度の拡充など後遺症外来を実施する医療機関への支援などを要望している。
近く、政府に提出する。
冒頭、知事会の平井伸治会長は政府の5類への変更を評価した上で、移行に向けては「ソフトランディングをどのようにさせていくのか。医療現場と行政が連携を図っていくことが重要になる。特に医療提供体制がどうなるのか、患者が早期に受診できるのかにかかってくる。そのためには診療報酬や防御機材などの助成制度や国庫負担は継続していく必要がある。また、一定程度の病床を確保しなければならないため、確保料や諸制度も一定程度は堅持していく必要がある。さらに多くの医療機関が参加してもらえるような対策について国のほうでも考えてほしい」と述べた。
日医の松本吉郎会長は平井会長の発言に賛意を示し、1月19日に岸田文雄首相と面会し、類型見直しについて段階的な対応を求め、医療現場への支援を要請したことを紹介。その上で、「段階的なロードマップはまだ具体的ではないが、全国知事会と日本医師会、都道府県行政と都道府県医師会が車の両輪となって今後の対応、ウイズコロナ時代の医療提供体制を築いていきたい」と述べた。
この後、内堀雅雄福島県知事が共同声明案を説明。日医の茂松茂人副会長、角田徹副会長、釜萢敏常任理事が意見を述べた。
共同声明は次の7項目。
各種の政策・措置の見直しに当たって十分な準備期間を確保するとともに、段階的な措置の具体的な内容及び完全移行までのロードマップを早期に示すこと。
医療機関の感染防御対策に対し必要な支援、診療報酬の加算等を一定期間継続するとともに、特に、これまで感染患者以外の診療を分担してきた医療機関にもさらなる理解・協力が得られるよう、丁寧な周知や十分な支援を行うこと。
幅広い医療機関における入院患者の受け入れ体制が整備されるまでには一定の期間を要することから、当該体制が整うまではそれぞれの地域において必要な医療を提供することができるよう、急激に減らすことなく十分な数の病床を確保することとし、病床確保料等をはじめとした病床の確保のための支援を継続すること。
高額な医療費について、他の疾病における費用負担との公平性等を踏まえつつ、受診控えにつながらないよう、現場の事務負担にも配慮しながら、一定の公費負担を継続すること。
病病・病診連携による入院調整を円滑に行うため、新型コロナ患者の受入可能病床の状況を各都道府県内の医療機関で共有するための情報システムの構築等を政府において進めるとともに、感染急拡大時など自治体による入院調整を求める場合には、法的根拠を整理した上で具体的な対応方針を早急に示すこと。
感染者数が非常に多く、後遺症と思われる症状を持たれる方が多いことから、治療や相談支援等の体制整備を行うとともに、診療報酬制度の拡充など後遺症外来を実施する医療機関への支援を行うこと。
地方自治体の財政状況によって、医療機関の感染防御対策や病床確保等、必要な感染症対策に支障が生じることがないよう、国は、現在の財政措置を継続すること。