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東京都医師会が医療制度改革でシンポジウム 2040年に向け提言(4月15日)

東京都医師会は4月15日、「TMA近未来医療会議」の第1回公開シンポジウムを開催した。「超少子高齢社会の到来を見据えた『近未来』の医療とそれを支える財政のあり方に関する提言」を公表した。

TMA未来医療会議とは都医が今年1月に設置した検討会。2040年に向けた医療供給体制と診療報酬体系の抜本的改革をテーマに、4つのクールに分けて提言を発表し、2023年3月を目途に最終的な提言をまとめる。委員長は香取照幸上智大学教授、第1クールの座長は菅原琢磨法政大学教授が務める。

都医の尾﨑治夫会長は、「コロナ禍で現行の医療提供体制の脆弱性が明らかになった。都市部と地方では医療環境も生活基盤も異なる。医療や社会保障の方向性を全国一律で論じることはできない」とした上で、「多くの関係者にこれからの東京の医療について考えてもらいながら第2クール以降も活発な議論を行い、提言をまとめていきたい」と述べた。

尾﨑会長

 シンポジウムでは、香取氏が会議全体の方向性と進め方を説明した。香取氏は、「『財政と医療的な課題にどう応えるか。超高齢社会、厳しい国家財政のもとでどのようにこの国の社会保障を守るか。国民や都民に明確な方向性を示してほしい』というのが我々に与えられたミッション。経済との整合性を考えながら、日本の医療、国民皆保険制度を守っていかなければならない」と述べた。

香取氏

続いて、菅原氏が第1クールの提言について説明。

提言では、「必要な医療提供体制確保のため応分の国民負担を求めるにあたっては、その前提として①これまで進捗のはかばかしくなかった医療界のデジタル化対応を早急に行い、患者目線でメリットを実感できるよう医療提供体制の効率化を推進する、②医療界のもたらす価値を広く国民にご理解いただくための努力を最大限行う、③医師をはじめとする医療従事者自らが、必要かつ不断の適正化への努力を怠らないことが重要」と強調した。また、国民皆保険制度における医療機関は「コモンズ(共有地)」と位置づけられ、維持や管理には利用者自身の適切な自己規律が必要されることから、現在の「フリーアクセス」についても、「地域完結型」や「ゾーンディフェンス」といった考え方をベースに再定義が求められるとした。

菅原氏

菅原氏は「日本の制度はこれまで画一的で、特に保険制度は一つの制度として機能してきた。意見の集約が必要なのは認めるが、社会全体が多様化するなか平均的な議論だけで国策を決める危うさを感じている。各都道府県医師会が自分の地域の課題を明確化することが、健全な議論には極めて重要」と述べ、本会議の意義を示した。

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