訪問・通所リハに「退院前カンファレンス参加加算(仮称)」の創設を(8月3日)
社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は8月3日、令和3年度介護報酬改定に向け、全国リハビリテーション医療関連団体協議会など関係15団体からヒアリングを行った(1団体は資料提出)。同協議会は、訪問・通所リハにおける「退院前カンファレンス参加加算(仮称)」の創設をはじめリハの提供に関して幅広く意見を述べた。また同協議会を含め、複数の団体が生活機能向上連携加算の見直しを求めた。
通所リハの基本報酬を老健施設と同様の構造に
全国リハビリテーション医療関連団体協議会は、▽日本リハビリテーション医学会▽日本訪問リハビリテーション協会▽日本リハビリテーション病院・施設協会▽回復期リハビリテーション病棟協会▽全国デイ・ケア協会▽日本リハビリテーション看護学会▽日本理学療法士協会▽日本作業療法士協会▽日本言語聴覚士協会─など9団体で構成される。
同協議会は、通所・訪問リハ事業所を対象として「退院前カンファレンス参加加算(仮称)」の新設を提案した。入院・入所中の患者において、退院後に利用が予定されている通所リハ・訪問リハの医師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が退院前カンファレンス等の直接の話し合いに参加することを評価するもの。通所・訪問リハに共通してVISITデータを提供するリハマネ加算Ⅰ、Ⅱにおいてもデータ提供の加算を創設することを挙げた。
通所リハについて、▽「規模別」「提供時間別」のマトリクス型である基本報酬を老健施設と同様の構造にする▽社会参加支援加算の対象を要支援者とする▽事業所評価加算の対象を要介護者とする▽短期集中個別リハ実施加算や生活行為向上リハ実施加算の実施を弾力化して集中的なリハの提供を可能とする─ことを求めた。また訪問リハについて、リハマネ加算Ⅱ~Ⅳに関して通所リハと同様の比率の上げ幅とすることを要望した。
老健施設の入所者に対する個別リハにおいて、3名以上のリハ専門職を配置した場合に評価を求めた。老健施設や介護医療院、介護療養型医療施設の入所者(障害高齢者の日常生活自立度ランクC)に対し、医師の医学的管理下における離床の取り組みを行い、ADLが維持・向上した場合に新たに評価を導入することも提案した。
他方、生活機能向上連携加算で通所・訪問リハ事業所から通所介護等にリハ職を派遣した場合や計画書の作成などの連携について評価することを求めた。
日本理学療法士協会と日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会は、3団体一緒に意見を述べた。要望は、全国リハ医療関連団体協議会と同様であるとし、利用者の状態に合わせて理学療法・作業療法・言語聴覚療法を適時適切に提供する体制を整備し、利用者の自立支援・重度化防止を推進することを強調。老健施設等における離床を促すための取り組みに対する評価や、生活機能向上連携加算の普及などを訴えた。
日本栄養士会は、新たに、中規模・大規模介護保険施設への管理栄養士の複数の配置や、施設から医療機関への入院時並びに在宅復帰時における栄養情報提供書の発行に対する評価を求めた。
CHASEを活用した新たな加算を創設
全国介護事業者連盟は、自立支援・重度化防止の推進を目指し、生活機能向上連携加算の算定要件を見直して、通所リハ等のリハ専門職との連携に限定せず、「外部との連携」で算定可能な要件に変更するよう強く要望した。アウトカム評価の拡充を目指し、事業所評価加算について要介護者に対して同様の加算を創設することも強く求めた。
VISITと同様にCHASEを活用した新たな加算を創設することや、ADL維持等加算について単価を拡充させるとともに、算定要件を見直して算定可能なサービスを通所介護に限定せずに他のサービスにも広げるように訴えた。
全国ホームヘルパー協議会は、生活機能向上連携加算の算定を促進するために、訪問看護事業所のリハ専門職との連携でも算定できるようにすることを求めた。日本ヘルパー協会も書類作成の手間などの課題を指摘し、同加算の見直しを要望した。
全国訪問看護事業協会は、「診療報酬との齟齬の解消」を求め、入院・入所時の医療機関等への情報提供の評価(訪問看護情報提供料の新設)や、緊急時訪問看護加算を診療報酬の24時間対応体制加算と同額(6400円)にするように指摘した。
全国小規模多機能型居宅介護事業所連絡会は、経営の安定性の確保に向け、軽度者から重度者まで一貫して在宅で支えるために要介護1、2の基本報酬の基本報酬の見直しを要望した。利用者がサービス利用中に入院する場合もあり、その際医療機関に同行したり、家族の代わりに症状等を説明したりする場合も多いことをあげ、居宅介護支援事業所と同様に入院時情報連携加算として評価することを求めた。また退院時の連携に対しても同様に退院・退所加算として評価することを訴えた。
24時間在宅ケア研究会は、定期巡回・随時対応サービスの促進に向け、同サービスと一体的な運営が認められている訪問介護や訪問看護等と、勤務時間を分けた勤務表の提出を求めるといった「ローカルルール」の撤廃を要請した。
日本福祉用具供給協会は、特定施設入居者生活介護の利用者も福祉用具貸与の給付対象とするよう要望した。
日本福祉用具・生活支援用具協会は、平成30年の介護報酬改定で、特養等の夜勤配置加算の算定において、見守り機器の導入により効果的に介護が提供できる場合に夜勤配置人数を軽減できることとされた。これを踏まえ、次の改定ではロボット・センサーの評価の拡大と全施設を対象として、導入施設への運用の支援を加えた新たな評価を検討することを求めた。
全国社会福祉法人経営者協議会は、平成30年度で34.9%の特養が赤字であることや新型コロナウイルス感染症の拡大に備えるために、「特養の基本報酬を増額し、安定的な経営を支援することが必要不可欠」と訴えた。
全国個室ユニット型施設推進協議会は、ユニット型個室の推進につながる報酬設定を求めた。