#37|初診日特定が難しい傷病による障害年金請求 その3(慢性疲労症候群)
心身が疲労をすると、身体の免疫力が下がり疾病に罹患することはありますが、疲労そのものが疾病であるというのが慢性疲労症候群です。外傷があるわけでもなく、異常値が検出されているわけでもないこの疾病は、周囲からは詐病ではないかと思われ、理解されにくいものでしたが、1988年にCDC(アメリカ疾病予防管理センター)により概念化された比較的新しい疾病です。
疾病名の通り、主要な症状は「疲労」です。ただし、明らかに原因が分かっている疲労(例えば激しい運動をした等)は、当該疾病の「疲労」には入りません。原因不明であり、また、それが6カ月以上継続していることが一つの要件となります。どの程度の疲労かというと、まるで鉛のように身体が重くなり動きにくくなると言われていますから、一度発症すれば、仕事や日常生活に大きな影響がでることもしばしばです。
しかし、疲労が疾病であるかもしれないという意識を持っている人は少なく、ただ疲れているだけであろうと我慢をして病院に行かない人や、風邪やうつ病なのかと思い、いくつもの病院を受診する人が多いのが現状です。従って、障害年金における初診日の特定が困難になりやすい疾病でもあります。今回は「初診日特定が難しい傷病による障害年金請求 その3」として、慢性疲労症候群による障害年金請求の事例を検証していきます。
1.慢性疲労症候群の症状の整理
慢性疲労症候群の主要な症状は、先述した通り「疲労」ですが、それ以外にも次のようにさまざまな症状が出現することもあります。
以上、全部の症状が必ず出現するわけではありません。どの症状が出現するかは人それぞれですが、微熱と喉の痛みは慢性疲労症候群の患者に多くみられる症状のようです。
また、一つ一つの症状は、他の疾病でも出現する可能性がありますので、1回や2回の受診で慢性疲労症候群であると診断することは非常に困難です。従って、初期段階では別の疾病名で診断されていることがほとんどですので、障害年金における初診日の特定をすることも難しくなってきます。