見出し画像

医療機関等でのキャッシュレス支払いに伴うポイントは当面認められる――1%超の付与には個別指導も(2023年9月29日)

厚生労働省保険局医療課は、9月29日に事務連絡「医療機関等における一部負担金のキャッシュレス支払いについて」を発出し、クレジットカードや電子マネーによる「キャッシュレス支払い」について、患者の利便性向上、医療機関等における事務の効率化の観点から差し支えないことを明確化した。

一方で「キャッシュレス支払い」に伴う「ポイント付与」については、平成24年9月14日付け医療課長通知(下図)に示すとおり、あくまでも「当面やむを得ないものとして認める」ことを改めて周知した。

平成24年9月14日保医発0914第1号「保険医療機関及び保険医療担当規則及び保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部改正に伴う実施上の留意事項について」
(社会保険研究所『調剤報酬点数表の解釈 令和4年4月版』682頁)

なお、「電子マネー」とは、交通系電子マネー等のタッチ式決済、QRコード決済・バーコード決済等を指すとしている。

保険調剤におけるポイント付与と同様の考えで対応

保険調剤に係る一部負担金の支払いにおいて、「キャッシュレス支払い」または他の支払い方法に併せて独自のポイントカード等を使用してポイントを付与することについては、平成29年1月25日の医療課事務連絡により取扱いが示されていた。

保険調剤等に係る一部負担金の支払いにおけるポイント付与に係る指導について
保険調剤等に係る一部負担金の支払いにおけるポイント付与を原則禁止している趣旨は、以下の考え方によるものであることから、保険調剤等に係る一部負担金の支払いにおけるポイント付与を行っている保険薬局には、この考え方を伝え、制度に対する理解が深まるよう努めてください。
・保険調剤等においては、調剤料や薬価が中央社会保険医療協議会における議論を経て公定されており、これについて、ポイントのような付加価値を付与することは、医療保険制度上、ふさわしくないこと
・患者が保険薬局等を選択するに当たっては、保険薬局が懇切丁寧に保険調剤等を担当し、保険薬剤師が調剤、薬学的管理及び服薬指導の質を高めることが本旨であり、適切な健康保険事業の運営の観点から、ポイントの提供等によるべきではないこと

平成29年1月25日医療課事務連絡(平成29年2月23日医療課事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その9)」別添4・別紙)

今回の9月29日付け事務連絡では、医療機関における一部負担金においても同様の考え方が当てはまることを示した。

具体的には以下の「1」から「3」までのいずれかに該当する医療機関等には、口頭による指導を行い、その上で改善が認められない場合は、必要に応じ個別指導を行うこととしている。

  1. ポイントを用いて一部負担金を減額することを可能としている

  2. 一部負担金の1%を超えてポイントを付与している

  3. 一部負担金に対するポイントの付与について大々的に宣伝、広告を行っている(具体的には、当該保険医療機関等の建物外に設置した看板、テレビコマーシャル等)

【参考】保険調剤に係る一部負担金へのポイントサービスについて(平成23年11月2日中医協資料)

関連書籍

平成24年9月14日保医発0914第1号「保険医療機関及び保険医療担当規則及び保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部改正に伴う実施上の留意事項について」は、『医科点数表の解釈 令和4年4月版』1089頁および『調剤報酬点数表の解釈 令和4年4月版』682頁に掲載されています。


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

社会保険研究所ブックストアでは、診療報酬、介護保険、年金の実務に役立つ本を発売しています。