支払基金が突発的リスク対応へ「中期財政運営検討委員会」を設置(2023年10月31日)
社会保険診療報酬支払基金の北波孝理事長特任補佐は10月31日の会見で、新型コロナなどの突発的リスクの対応や目的積立預金の適切な保有水準・活用などを検討するための「中期財政運営検討委員会」を設置したことを発表した。10月に2回開催し、余剰金の一部内部留保や残余余剰金の還元方法についての方針をまとめた。
同委員会は、手数料の水準や安定的な運営をするためには一定の内部留保が必要との観点から、中期的な財政運営に向けた安定化方策を検討する場として設置。保険者代表・診療担当代表・被保険者代表・公益代表の4者で構成し、検討事項については委員会の意見としてまとめた上で理事会に報告する。
10月13日の初会合では、内部留保の設定や剰余金の還元方法を検討。同27日の第2回会合では、財政安定化預金の保有水準と利益剰余金の取扱いについて意見をまとめた。
現時点の意見のとりまとめとして、剰余金の一部内部留保については①内部留保のため財政安定化預金を設置し、リスクに備える②令和6年度は28億円とし、その後は基金の業務効率化の効果を含めて保有水準を検討する―とした。
保険者への剰余金還元は平準化
28億円の設定については「過去最もインフルエンザの流行した年と、ほとんど流行しなかった年のレセプト金額の差。感染症の流行で医療費が上下するので、考えられるリスクの幅ではないか」(北波特任補佐)としている。
また、残余剰余金の還元方法では、「手数料への影響の平準化のため3分割し、令和6年度は13.8億円を受け入れることが適当である」とした。
北波特任補佐は「被保険者の拡大や受診率の上昇などで当初の見込みよりも手数料が多く入ると剰余金が発生する。保険者への剰余金還元では毎年度の著しい上下を避けるために平準化する必要があると考え、3年間の分割にする。令和4年度の剰余金69億円の振り分け方法として、内部留保の28億円と、13.8億円×3とした。こうした意見を前提に、保険者との手数料に反映させていきたい」と述べた。
今後、委員会は支払基金が保有する3つの目的積立金(IT、大規模修繕、退職金の準備)の適正水準や活用方法などについて検討していく。