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遺伝性網膜ジストロフィー治療薬「ルクスターナ」を約4960万円で保険適用 診断用医療機器と同時に 中医協(2023年8月23日)

中医協総会(小塩隆士会長)は8月23日、網膜の働きに関わる遺伝子の1つが変異することにより、網膜細胞機能の低下や網膜細胞の脱落が起こり、視力低下や視野狭窄が進行する疾患である「遺伝性網膜ジストロフィー」の遺伝子治療用薬で再生医療等製品である「ルクスターナ注」を、0.5mL1瓶(希釈液2本付)当たり49,600,226円で保険適用することを了承した。薬価基準収載日は8月30日(告示は8月29日)を予定している。

ルクスターナ(成分名:ボレチゲン ネパルボベク)は、ノバルティスファーマが製造販売するウイルスベクター製品で、片眼につき1回の注射で済むが両眼の治療では約1億円となる。厚生労働省によると、国内では脊髄性筋萎縮症(SMA)の遺伝子治療薬である「ゾルゲンスマ」(成分名:オナセムノゲン アベパルボベク)の1患者あたり1億6707万7222円に次いで高額の薬となる。

また、遺伝性網膜ジストロフィーと診断された患者又は疑われる患者の疾患原因遺伝子の情報を取得することができる医療機器「PrismGuide IRD パネル システム(シスメックス)」も同日の中医協において保険適用が了承され、ルクスターナの薬価基準収載日である8月30日に保険適用予定。

決定区分はC2(新機能・新技術)で、特定保険医療材料としては設定されず、新規技術料にて評価される。

なお、準用技術料および留意事項案が以下の通り示されている。

(準用技術料)
D006-24 肺癌関連遺伝子多項目同時検査 10,000点
D004-2 悪性腫瘍組織検査 1 悪性腫瘍遺伝子検査
イ 処理が容易なもの
 ⑴ 医薬品の適応判定の補助等に用いるもの 2,500点
イ 処理が容易なもの 注1 ハ 4項目以上 8,000点

(留意事項案)
⑴ 本検査は、臨床症状、検査所見、家族歴等からRPE65遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィーと疑われる者であって、十分な生存網膜細胞を有することが確認された者に対して、血液を検体とし、遺伝性網膜ジストロフィーの疾患原因遺伝子の情報を取得するものとして薬事承認又は認証を得ており、厚生労働省難治性疾患政策研究事業において「網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班網膜ジストロフィーにおける遺伝学的検査のガイドライン作成ワーキンググループ」が作成した「遺伝性網膜ジストロフィーの原因となりうる主な遺伝子」リストに記載されている遺伝性網膜ジストロフィーの関連遺伝子の変異を評価可能な医療機器等により次世代シーケンシングを用いてボレチゲン ネパルボベクの適応の判定の補助を目的として実施した場合にのみ、患者1人につき1回に限り算定できる。
⑵ 本検査は、厚生労働省難治性疾患政策研究事業において「網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班IRDパネル検査における遺伝学的検査運用ガイドライン作成ワーキンググループ」が作成した検査運用指針に従って実施された場合に限り算定する。
⑶ 本検査は、遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関で実施すること。ただし、遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関との連携体制を有し、当該届出を行っている保険医療機関において必要なカウンセリングを実施できる体制が整備されている場合は、この限りではない。

円形脱毛症治療薬「リットフーロカプセル」、発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬「エムパベリ皮下注」など新薬6成分は30日薬価収載

同日の中医協総会において、以下の新薬6成分の保険適用が了承された。8月30日の薬価基準収載(告示は8月29日)が予定されている。

  • コレチメント錠9mg(成分名:ブデソニド) 9mg1錠607.80

    • 効能・効果:活動期潰瘍性大腸炎(重症を除く)

    • 主な用法・用量:通常、成人にはブデソニドとして9mgを1日1回朝経口投与

  • リットフーロカプセル50mg(成分名:リトレシチニブトシル酸塩) 50mg1カプセル5,802.40

    • 効能・効果:円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)

    • 主な用法・用量:通常、成人及び12歳以上の小児には、リトレシチニブとして50mgを1日1回経口投与

  • リトゴビ錠4mg(成分名:フチバチニブ) 4mg1錠10,252.50

    • 効能・効果:がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道癌

    • 主な用法・用量:通常、成人には、フチバチニブとして1日1回20mgを空腹時に経口投与。なお、患者の状態により適宜減量

  • エムパベリ皮下注1080mg(成分名:ペグセタコプラン)1,080mg20mL1瓶488,121

    • 効能・効果:発作性夜間ヘモグロビン尿症

    • 主な用法・用量:通常、成人には、ペグセタコプランとして1回1080mgを週2回皮下投与。十分な効果が得られない場合には、1回1080mgを3日に1回の間隔で皮下投与可能

  • オンキャスパー点滴静注用3750(成分名:ペグアスパルガーゼ) 3,750国際単位1瓶230,637

    • 効能・効果:急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫

    • 主な用法・用量:他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、ペグアスパルガーゼとして、下記の用法・用量で2週間間隔で点滴静脈内投与

      • 21歳以下の患者:体表面積0.6㎡以上の場合は1回2500国際単位/㎡(体表面積)を、体表面積0.6㎡未満の場合は1回82.5国際単位/kg(体重)を投与

      • 22歳以上の患者:1回2000国際単位/㎡(体表面積)を投与

  • アクトヒブ(成分名:乾燥ヘモフィルスb型ワクチン(破傷風トキソイド結合体)) 10μg1瓶(溶解液付)4,941

    • 効能・効果:インフルエンザ菌b型による感染症の予防

    • 主な用法・用量:本剤を添付溶剤0.5mLで溶解し、その全量を1回分とする。

      • 初回免疫:通常、3回、いずれも4~8週間の間隔で皮下に注射。医師が必要と認めた場合には3週間の間隔で接種可能

      • 追加免疫:通常、初回免疫後おおむね1年の間隔をおいて、1回皮下に注射

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