第1号被保険者の育児期間中の保険料免除制度創設を検討―社保審年金部会
厚生労働省は6月26日、社会保障審議会年金部会を開催し、育児期間の国民年金保険料免除制度の創設に向けて主な論点を提示し、審議を開始した。自営業者やフリーランス等に対する育休期間中の経済的支援として、政府のこども未来戦略方針などにおいて具体的な制度設計が求められていたもので、令和8年度までの実現をめざす。
この日、同省が示した論点は、保険料免除の①対象者、②対象期間、③給付への反映の3つ。①対象者に関しては、「子を養育する親」の範囲をどのように定めるかが問題となる。具体的には、厚生年金と同様に子を養育するために「休業」したことを対象者の要件とするか、両親ともに第1号被保険者の場合に2人とも免除を認めるかなどが検討課題とされた。
就業実態が自営業者、フリーランス、雇用されて働く者、無業者とさまざまな第1号被保険者は「休業」の把握が難しく、現行の国民年金の産前産後期間の保険料免除は「休業」を要件としていない。また、厚生年金被保険者は育児休業等を両親が同時に取得でき、保険料免除も適用されるが、雇用保険の育児休業給付の所得保障を受けられない第1号被保険者が両親ともに完全に「休業」することは考えにくい。
②対象期間に関しては、保険料免除の対象となる育児期間をどのように定めるかを検討する。厚生年金では、子が最長3歳まで保険料免除の対象期間となり得る。
③給付への反映は、免除期間に対応する給付水準が論点。国民年金の産前産後期間の保険料免除は満額の給付が保障され、厚生年金被保険者は子の養育を開始した月の前月の標準報酬月額(従前標準報酬月額)に応じた給付が保障されるが、育児期間の国民年金保険料免除における給付への反映、給付のあり方などの検討が求められる。
この日の意見交換では、育児期間の国民年金保険料免除制度を創設する方向性に異論は出なかった。ただ、保険料免除の範囲を広げるほど、財源が必要になることから、財源によって支援内容が変わり得る点などが指摘された。