遺族年金のしくみと手続~詳細版|#20別居中の夫が亡くなった場合に妻が遺族年金を受給するには
今回は、夫が亡くなった時点で夫婦が別居していた事例です。夫の借金のトラブルが家族に及ばないよう、夫婦はいったん離婚して別居しました。その後、借金トラブルが落ち着き、夫婦は再婚しましたが、二人は同居せずに別々に暮らしていました。妻が夫の死亡時に別居している場合、夫との生計維持関係が認められるかどうかが、問題です。妻の提出した「申立書」等から、どのように生計維持関係を判断したのか、ご紹介します。
戸籍上の妻が夫死亡時に別居していた場合
老齢厚生年金の受給権者であった夫のAさんが亡くなったとのことで、令和4年11月21日、妻のB子さんが遺族厚生年金の請求に来所されました。B子さんに夫の死亡時の状況を確認すると、B子さんとAさんは住民票を別にされていました。
そこで、持参された戸籍謄本を確認しながら話を聞いていくと、お二人は昭和47年に婚姻しましたが、その後、Aさんが50歳のときに友人の借金の保証人となり、家族までトラブルに巻き込まれそうになったので、平成9年に離婚しました。そして、事態が落ち着いた頃、Aさんが65歳になった平成22年に再度、籍を入れたことが確認できました。
しかし、夫の死亡の当時、妻が別居していた場合、戸籍上の妻であっても遺族年金を受給できない可能性があります。遺族年金を受給できるのは、配偶者であり、かつ、「生計を維持した者(=生計維持関係がある者)」と規定されています(以下を参照)。
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