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#12 どっちが先進国? アゼルバイジャンのIT事情【後編】「汚職・賄賂との戦い」

香取 照幸(かとり てるゆき)/上智大学総合人間科学部教授、一般社団法人未来研究所臥龍代表理事

※この記事は、2017年10月16日に「Web年金時代」に掲載されたものです。

みなさんこんにちは。今回は「アゼルバイジャンのIT事情」の後編、最終回です。本稿も外務省ともアゼルバイジャン大使館とも一切関係がありません。全て筆者個人の意見です。念のため。

着任最初の誕生日を現地職員に祝ってもらう

その前にちょっと「柔らかい話題」を一つ。

過日こちらで最初の誕生日を迎えました。

ここアゼルバイジャンでは、慶事・お祝いごとがあると、そのおめでたいことがあった本人が職場の仲間や友人にケーキなどを振る舞う、という習慣があります。

こちらにきてから、「今日は誰々さんの誕生日です」とか「誰々さんのところにお子さんが生まれました」「誰々さんが婚約しました」「息子さんが無事割礼を済ませました」と言って、その度に秘書が「お祝い」ケーキを持ってきます。

私も6月に初孫が生まれた時に館員・現地職員みんなにケーキを配りました。すると現地職員が次々に「おめでとうございます」と大使室にお祝いを言いにきてくれました。公邸の警備担当職員まで私に声をかけてくれました。

で、自分の誕生日当日、私としては二度目の「ケーキ配り」に臨むべく出勤したところ、大使室のドアにこんなお祝いの飾りが付いていました。

なかなかうちの現地職員も粋なことをする、と感心しながら、とても嬉しく思いました。

住民のクレーム対応と職員のメンタル対策はなかなかなもの

で。本題に入ります。閑話休題。

前回、ASANセンターという、この国の「電子政府」の取り組みについて紹介しました。

IDカード一枚で、ワンストップ・ペーパーレスで各種行政手続・行政サービスが迅速に受けられる。実際に「電子政府」が機能するとどうなるのか、ハード・ソフト両面でのITインフラをきちんと整備すればこれだけのことができる。

この国ではその姿を具体的に見ることができます。

今回は、電子政府を実現することのもう一つの大きな意味、「汚職と腐敗の根絶」について考えます。

その前に。このASANセンターには、前回お話ししたこと以外にも、私が感心したことがいくつかありました。今日の本題に入る前に、ちょっとだけお話ししたいと思います。

第一は、「住民のクレーム対応」です。

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