新型コロナを受け、医療計画の記載事項の見直しを検討へ(10月28日)
厚労省は28日、厚生科学審議会感染症部会(脇田隆宇部会長)に、新型コロナウイルス感染症を受け、新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保に向け、医療計画の記載事項を見直す方向を示し、了承された。
今後、感染症部会と連携して社会保障審議会医療部会等で議論を進めていく。
厚労省は、今般の新型コロナウイルス感染症のような新興感染症等の感染拡大時に、広く一般の医療連携体制にも大きな影響が及ぶことを前提に、必要な対応が機動的に講じられるよう、感染症法に基づく基本指針に即して都道府県で策定する予防計画と、医療計画との間で整合性を確保し、取り組みを進めていく必要を指摘。
新興感染症等の感染拡大時には、医療計画により整備される一般の医療連携体制に大きな影響を及ぼすことから感染症部会での議論も踏まえ、社保審・医療部会で必要な取り組みを検討するように要請することを提案した。
具体的に、医療計画の記載事項に「新興感染症等の感染拡大時における医療」を追加。医療法に基づく基本方針等について、感染症法に基づく基本指針と整合性を図りつつ、医療計画でも必要な内容が記載されるように見直すことを示した。厚労省は「新興感染症等の感染拡大時における医療」を現行の5疾病5事業に追加していく考え。他方、感染症法に基づく基本指針等の見直しは、事態が収束した段階で対策の評価とあわせて検討していく方向も示した。感染症部会は厚労省の提案を概ね了承した。
厚労省は医療計画に記載することが想定される事項として、平時からの取り組みと感染拡大時の取り組みに分けて提示。
平時からの取り組みとしては、▽感染症指定医療機関(感染症病床)等の整備▽医療機関における感染防護具等の備蓄▽感染管理の専門人材の育成(ICN等)▽院内感染対策の徹底▽医療機関におけるPCR検査等病原体検査の体制整備─などを挙げた。
感染拡大時の取り組みとしては、▽一般病床等での感染症患者の受け入れ体制の確保▽臨時の増床、臨時の医療施設や宿泊療養施設の開設▽感染拡大時の人材確保取り組み(病院内の重点配置や病院間の派遣)─などを示した。
意見交換では、▽平時からの取り組みとして指定医療機関だけでなく、地域の医療の医療機関を含めて体制を考えていく必要がある▽民間も含めた検査体制についてどのようなタイムスケジュールで準備していくかを考えていく必要がある▽呼吸器重症者の受け入れ対策の検討が必要▽地域で感染症対策を担う人材育成が必要▽高齢者施設職員に対する平時からの感染症対策の教育の制度的な対応が重要─などがあがった。