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日看協が障害福祉サービス等報酬に「医療的ケア児管理加算」の創設を提案(8月7日)

厚労省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームは8月7日、令和3年度の障害福祉サービス報酬等改定に向け、関係団体からのヒアリングを継続した。今回は、日本看護協会や日本重症心身障害福祉協会など10団体から意見を聞いた。日看協は、医療的ケア児の支援で、月額の「医療的ケア児管理加算(仮称)」の創設などを提案。重症心身障害福祉協会は、医療型短期入所の拡充を強く要望し、重症心身障害児等への保育・療育など日中活動を行う場合の加算の導入などを訴えた。

今回でヒアリングは終了。検討チームは計5回にわたり、46団体から意見を聴取した。厚労省は今後、各団体の要望を受け論点整理を行うとともに、それを踏まえて検討チームにおいて各サービスについてより具体的な議論を進めていく考え。

「精神障害者支援医療連携加算」の新設も求める

日本看護協会は、大きく(1)医療的ケア児やその家族を支えるサービスの充足(2)精神障害者を支える保健・医療・福祉の連携強化(3)災害や感染症拡大等の有事に備え、平時より医療・福祉両面の協力体制の整備─の3点を要望した。このうち(1)では、次の5点を求めた。

  1. 医療的ケア児は急な欠席となることが多いことや、送迎やケアに人員が必要となることを踏まえ、現行の「欠席加算」「送迎加算」を廃止し、月額の「医療的ケア児管理加算(仮称)」を新設すること。この場合、送迎は必須とするとした

  2. 医療的ケア児は医療処置や身体の状況により見守りや管理が異なるため「医療的ケア児特別管理加算(仮称)」を新設すること

  3. 医療ニーズの対応可能な看護小規模多機能型居宅介護事業所が共生型サービスの指定を受けた場合の単価を拡充し、医療処置や身体の状況に応じた加算を設けること

  4. 児童発達支援・放課後等デイサービスにおいて、看護職を配置した場合の基本単位数を引き上げること

  5. 新型コロナウイルス感染症拡大を考慮して電話やオンラインで支援した場合の報酬上の評価を設けること

(2)では、精神障害者の相談支援において、相談支援事業所と精神科医療機関や精神科訪問看護基本療養費を算定している訪問看護事業所が連携した際に、相談支援事業所の評価として「精神障害者支援医療連携加算(仮称)」を新設することを挙げた。

(3)では、障害支援施設等が、感染管理の専門性が高い看護師との連携により感染予防の体制整備を行った場合に、「感染予防対策加算(仮称)」を新設することなどを訴えた。

医療型短期入所を重症心身障害児者のサービスの中心に

日本重症心身障害福祉協会は、「重症心身障障害児者の地域における生活を抜きに語れない。短期入所を重症心身障害児者のサービスの中心に据えて検討していただきたい」と述べ、重症心身障害児者・要医療的ケア児者の医療型短期入所の拡充について強く要望した。具体的に次の10項目を挙げた。

  1. 医療型短期入所サービス費基本報酬および特別重度支援加算の増額

  2. 有床診療所での医療型短期入所における看護師配置への配慮

  3. 移動可能な医療的ケア児者や行動障害などがある児者の受入への加算、および医療型短期入所の運用での特別重度支援加算(Ⅰ)の超重症・準超重症児者の基準からの「運動機能が坐位まで」という条件の除外

  4. 短期入所における欠席時対応加算(キャンセル補填)の新設

  5. 緊急短期入所の受入加算に対する要件緩和

  6. 日中活動(保育・療育、リハビリ)への加算

  7. 超重症児者等入浴対応加算の新設

  8. 送迎加算の充実

  9. 次子出産支援に対する加算の新設

  10. 高度な医療に対応する事業所への報酬の新設

このうち「6.」日中活動への加算について、「これまで親御さんを休ませるのが短期入所といわれてきたが、今や子供たちがそこで生きていくことが前提。単に医療的なベッドを提供するだけでなく、いろいろな療育的なサービスを行わなくてはならない。しかし、それは今までの報酬の中には組み込まれていない」と指摘し、加算の必要性を訴えた。

地域生活支援で緊急短期入所受入加算の増額を要望

全国手をつなぐ育成会連合会は、「知的障害者の約90%が家族同居である実態を踏まえ、家族支援の観点も含めた地域生活支援を推進する必要がある」と指摘。地域生活支援拠点等の整備促進では、緊急短期入所受入加算についてさらなる増額が必要と求めた。また医療型短期入所について、重症度の高い医療的ケア児者も受入可能な事業所(実質的には医療機関)への特別加算を設定するという質的な対応も含め、「医療機関が参入を検討できるような報酬水準とすることが不可欠」と訴えた。身体拘束廃止未実施減算の大幅な強化を提案するとともに、食事提供体制加算を廃止する場合には、「食事の際に特別な配慮を要する児・者についてのみ、新たに恒久的な加算を設定すべき」と求めた。

日本知的障害者福祉協会も子どもの施設については、現行の食事提供体制加算を「食育等支援加算(仮称)」と改め、「恒久的な加算として位置づける必要がある」と求めた。

全国重症心身障害児(者)を守る会は、突発的な短期入所の利用が困難な状況を説明。緊急短期入所受入加算の報酬単価が低く、事業者へのインセンティブが働いていないのではないかと提起し、現行よりも「せめて50%ぐらいの上乗せをしていただきたい」と求めた。さらに▽新規に強度行動障害者として判定を受けた者で、特に医療的ケアを必要とする者を療養介護の対象とすること▽重症心身障害児が入院した場合、重症心身障害者と同様に重度訪問介護の利用を可能とすること▽通園事業(通所を含む)の安定した運営が可能となる報酬を設定すること─などを求めた。

全国重症心身障害日中活動支援協議会は、重症児対象の児童発達支援及び放課後等デイサービス等の充実を要望。看護職員加配加算の算定要件を緩和し、判定スコアの運用を大幅に見直すことに加えて、定員規模と医療的ケア児者の数に応じた、さらなる上乗せ加算の導入を訴えた。また日中活動事業所を活用する障害児・者の共通の要望事項として▽全身性障害など最重度障害者に対する送迎加算の充実▽入浴サービス提供加算の創設─を挙げた。

日本ALS協会は、たん吸引等の医療的ケアが可能な介護サービス提供体制の拡充を要望。▽重度訪問介護者の夜間・休日・祭日の割増加算の増額▽医療的ケア実施者の1人1日1,000円の増額▽医療的ケア提供者数による体制加算の大幅増額▽新人介護者研修における熟練者同行時時の報酬減額の見直し▽痰吸引等研修(特定の者3号)を拡充するための助成─などを求めた。

高次脳機能障害者・児の専門的な相談支援で加算導入を求める

日本高次脳機能障害友の会は、高次脳機能障害者・児をより専門的に支援できる相談支援体制に向けた見直しを要望した。高次脳機能障害の特性を専門的に理解し相談業務にあたる支援専門員の配置を目的に、計画相談における「高次脳機能障害支援体制加算」の導入を提案。また、高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業実施要綱で求められているのと同様の専門職を対象にすることを挙げた。
同実施要綱に基づく「相談支援事業等支援拠点機関」において配置を求められている支援コーディネーターとしては、社会福祉士・精神保健福祉士・保健師・作業療法士・心理技術者など高次脳機能障害者に対する専門的相談支援を行うのに適切な者としている。

日本発達障害ネットワークは、重度訪問介護の入院時支援の対象を障害支援区分6以外の障害者にも拡大するように求めた。

日本難病・疾病団体協議会は、「難病患者の多くは、報酬の議論に至る以前の課題が多く、サービスの在り方が優先課題。他の障害との差別を無くし、難病や長期慢性疾患患者もすべての障害者施策の対象となることを強く求める」と訴えた。

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