障害者施設での利用者の重度化等への対応の評価を要望(7月16日)
厚労省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームは7月16日、障害福祉関係団体からのヒアリングを行った。ヒアリングは今回で2回目。障害者支援施設での利用者の重度化等への対応について更なる評価を求める声が上がった。また複数の団体が食事提供体制加算の継続を要望した。
今回は、①全国身体障害者施設協議会②全国肢体不自由児施設運営協議会③全日本ろうあ連盟④全国盲ろう者協会⑤日本視覚障害者団体連合⑥障害者自立支援法違憲訴訟団⑦全国社会就労センター協議会⑧全国就業支援ネットワーク⑨全国就労移行支援事業所連絡協議会⑩就労継続支援A型事業所全国協議会─の10団体から意見を聴取した。
人員配置体制加算の更なる評価を求める
全国身体障害者福祉施設協議会は、介護職員等による医療的ケアの実施に係る環境整備として喀痰吸引等を行う職員の配置を評価するよう求めた。障害者支援施設の人員配置体制加算について、従来の区分に加え、新たに直接処遇職員の数が利用者数を1.7で除した数を超える人員を配置した場合の区分の新設を要望した。加えて利用者の重度化・高齢化に伴う業務量などを踏まえ、施設入所支援に関する基本報酬の引き上げを求めた。また看護職員を3人以上配置し、医療的ケアが必要な複数の利用者に対応している場合には、更なる加算による評価も訴えた。
全国肢体不自由児施設運営協議会は、医療型障害児入所施設への入所から在宅への移行支援としての外泊への評価加算の創設や、医療ソーシャルワーカーの専任的配置への給付費の創設を要望した。
全日本ろうあ連盟は、現在の新型コロナウイルス感染症拡大の中で、ろう重複障害者に病気の理解や新しい生活様式などの学習機会の保証が不可欠とし、視覚・聴覚言語障害者支援体制加算の拡充を要望した。特に障害児通所施設にも同加算を適用する必要を指摘。また食事提供体制加算の継続も訴えた。
全国盲ろう者協会は、同行援護の国庫負担基準について、盲ろう者の移動支援及び意思疎通支援を想定したものとなっていないとし、十分な派遣時間を確保できるように国庫負担基準の見直しを求めた。
日本視覚障害者団体連合は、同行援護について、利用者ニーズに見合った制度・報酬に改めるべきことを主張。利用時間の制限や自己負担の撤廃、事業所の報酬単価の増額を求めた。たとえば長時間利用の報酬で所要時間3時間以上の報酬単価は、「674単位に所要30分を増すごとに63単位を加算した単位数」となっているが、「63単位」を「73単位」に引き上げることを要請した。
障害者自立支援法違憲訴訟団は、「障害に伴う必要な支援は原則無償とすべき」と主張。たとえば障害児の利用者の負担の収入認定では保護者の収入は除外することを求めた。また65歳以上又は40歳以上の特定疾病者において、「一律に介護保険を優先とするのでなく、当事者の選択制を導入すべき」とし、いわゆる「介護保険優先原則」の廃止を訴えた。
全国社会就労センター協議会は、新型コロナの感染拡大を受け、継続的により徹底した衛生管理体制を維持していく必要があることを指摘し、障害福祉サービス施設・事業所における基本報酬で評価するように求めた。また食事提供体制加算の恒久化と送迎加算の拡充も要望した。
全国就業支援ネットワークは、就労系サービスの質を評価する仕組みづくりを提案し、利用者・家族・企業・関係機関からの外部評価の導入を挙げた。
全国就労移行支援事業所連絡協議会は、就労移行支援事業における基本報酬は現行の1年間の就労実績評価ではなく、標準利用期間が2年間であることから、2年間を通じた評価を求めた。
就労継続支援A型事業所全国協議会は、利用者の処遇改善に努力している事業所に対して、社会保険加入者割合に関する加算や、障害者のキャリアアップに関する評価加算の導入を要望した。