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#17 外国に初診日がある場合

 傷病が発生した時に必ずしも日本国内に居るとは限りません。例えば海外旅行中に突然傷病が発生し、その後障害状態になることもあります。このような場合であっても、日本の国民年金や厚生年金に加入中であれば、障害年金の請求は可能となります。

 しかし、当然、初診証明等は外国の医療機関ということになりますので、日本国内に初診日がある場合とは少々勝手が異なります。今回は、海外で突然傷病に襲われ、その後障害状態になった方の障害年金請求事例を検証します。


1.初診日及び障害認定日の特定

 高次脳機能障害の原因は低酸素脳症ですが、その原因になったのは、心筋梗塞です。従って、心筋梗塞で救急搬送された「令和2年7月30日」が初診日となります(なお、追加で伺ったところ、心臓に関することで医師より何らかの指摘を受けたことはないとのことでした。)。

 傷病は高次脳機能障害ですから、症状固定はありませんので、障害認定日は初診日から1年6カ月経過後の「令和4年1月30日」となります。障害認定日と初診日で、かかっている医療機関が異なりますので、初診日証明は必要となります。

 また、結婚してから現在まで国民年金の第3号被保険者であることから、納付要件(直近1年に未納がない要件に該当)は満たしており、海外旅行中であっても、国民年金の加入者であることには変わりはありませんので、障害基礎年金の請求が可能となります。

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