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謎の新興国アゼルバイジャンから|#29 経済変動と公的年金財政―マクロ・ミクロ両面から公的年金制度を考える(補足) 

香取 照幸(かとり てるゆき)/アゼルバイジャン共和国日本国特命全権大使(原稿執筆当時)

※この記事は2018年6月21日に「Web年金時代」に掲載されました。

みなさんこんにちは。
本稿は外務省ともアゼルバイジャン大使館とも一切関係がありません。全て筆者個人の意見を筆者個人の責任で書いているものです。内容についてのご意見・照会等は全て編集部経由で筆者個人にお寄せ下さい。どうぞよろしくお願いします。

公的年金制度の基本的枠組みは賦課方式

前回まで4回にわたって「年金シリーズ」を書きました。
一通り書いたつもりだったのですが、読者の方から、「人口動態の変化に公的年金制度がどう対応しているのか、についてはよく分かったけど、経済変動に対しては公的年金制度はどう対応しているのか。デフレが進行したり想定外にインフレになったりしたら、公的年金財政や年金給付は大きな影響を受けるのでは?」という質問をいただきました。

確かに、経済変動との関係についてはちょっと書き足りなかったかもしれません。
なので、今回は「補足」ということで、マクロで見た公的年金の財政運営、という観点から、「経済変動と年金財政の関係」について詳しくお話しすることにします。

最初に、現在の公的年金制度の基本構造についておさらいをします。
我が国の公的年金制度は、多くの国の公的年金制度と同じく、基本的には賦課方式で運営されています。但し、ご案内のように一定の積立金を保有していて、積立金の元本及び運用益を計画的に活用して給付に充てていますので、修正積立方式、と呼ぶ人もいます。
制度の発展の歴史を見れば、これまた諸外国の公的年金制度同様、当初積立方式で制度を発足させ、その後賦課方式に移行していったので、修正積立方式、という言い方をしても間違いというわけではありませんが、「現役世代の生み出した付加価値の一定割合を引退世代の給付に充てる」という「世代間扶養」の仕組みを取っていますから、基本的枠組みはpay as you go、つまりは賦課方式と言っていいと思います。
修正積立か賦課かという議論は、あまり生産的ではないのでここでは深入りしません。

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