臨時の介護報酬改定の審議報告案を了承(2月7日)
社会保障審議会介護給付費分科会は2月7日、介護職員の収入を月額9,000円程度引き上げるための措置である、今年10月から実施する臨時の介護報酬改定の審議報告案についておおむね了承した。
厚労省は、改定に向けて告示の改正をできる限り早く行うとしている。
これまでの議論で出された委員の意見として、審議報告案には、
◇対象となる職員の賃金改善の効果検証を行うこと
◇処遇改善のあり方について引き続き検討すること
◇介護サービスの業務効率化や適正化および重点化など、保険料への影響や利用者負担も念頭において介護報酬を引き続き見直すこと
――などの考えが示されている。
審議報告案について日本医師会の江澤和彦委員は、保険料への影響や利用者負担は十分に考慮すべきとしつつ、「施設サービスでは人件費率が6~7割、居宅サービスでは人件費率が7~8割にもなる。介護報酬の大半は現場職員の人件費であり、収支差3%程度の事業所の介護報酬を適正化、すなわち抑制することは介護人材の賃金の抑制にもつながりかねない」と懸念を示し、介護職員の賃金アップのための介護報酬改定の審議報告としては、「適正化および重点化」という記載はなじまないと指摘した。
令和4年度介護報酬改定:介護職員の処遇改善
①加算の対象(取得要件)
加算対象のサービス種類としては、今般の処遇改善がこれまでの数度にわたり取り組んできた介護職員の処遇改善をより一層進めるものであることから、これまでの介護職員処遇改善加算等と同様のサービス種類とすること。
長く働き続けられる環境を目指す観点から、一定のキャリアパスや研修体制の構築、職場環境等の改善が行われることを担保し、これらの取組を一層推進するため、介護職員等特定処遇改善加算と同様、現行の介護職員処遇改善加算(Ⅰ)から(Ⅲ)までを取得している事業所を対象とすること。
また、賃上げ効果の継続に資するよう、加算額の3分の2以上はベースアップ等(「基本給」又は「毎月決まって支払われる手当」)の引上げに用いることを要件とすること。
②加算率の設定
事業所における事務負担が少ない形で給付額を算出するため、サービス種類ごとの加算率は、介護職員処遇改善加算と同様、それぞれのサービス種類ごとの介護職員の数に応じて設定すること。
③事業所内における配分方法
事業所の判断により、介護職員以外の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう、柔軟な運用を認めること。その際、より事業所の裁量を認める観点から、事業所内の配分方法に制限は設けないこととすること。