障害者グループホームの質の向上で外部評価の実施を要望(6月28日)
社会保障審議会障害者部会(菊池馨実部会長)は28日、障害者総合支援法等の見直しに向けて障害者グループホームのあり方について議論した。障害者グループホームの質の向上のため外部評価の実施などを求める意見が複数から出された。
障害者グループホームの利用者は約14万2千人
障害者グループホームは、介護サービス包括型と日中サービス支援型、外部サービス利用型の3類型がある。
介護サービス包括型では世話人は6:1以上だが、夜間支援・日中支援での職員配置について特段の定めがない。一方、日中サービス支援型は世話人の配置が5:1以上で、夜間支援・日中支援では1名以上の職員配置が必要とされ、支援体制がより手厚くなっている。
外部サービス利用型では世話人は6:1以上の配置だが、介護の提供は外部の居宅介護事業所が行う。
障害者グループホームの利用者は年々増加しており、令和3年2月時点で約14万2千人になっている。障害者の重度化・高齢化が進む中でグループホームにおいて重度障害者の受入体制を整備することが課題であり、平成30年度障害福祉サービス等報酬改定で日中サービス支援型を創設した。さらに令和3年度改定で重度障害者支援加算を拡充した。
認知症グループホームでは外部評価が義務化
厚労省は、障害者グループホームと認知症グループホームの運営状況の報告と外部評価について紹介した。
障害者グループホームでは、事業所が利用者や家族、地域住民、市町村職員等から構成される協議会を設置し、要望や助言を聞く機会を設けることが望ましいことを通知している。さらに、日中サービス支援型については市町村が設置する協議会等への年1回以上の実施状況の報告を行うことや評価受けることが義務化されている。ただ介護サービス包括型や外部サービス利用型にはそうした義務はない。
一方、認知症グループホームでは、事業所で利用者や家族、地域住民、市町村又は地域包括支援センター職員等から構成される運営推進会議を設置し概ね2か月に1回以上、運営状況を報告することを義務化している。さらに年1回以上、都道府県が指定する第三者の外部評価か、又は運営推進会議の外部評価を受け、結果を公表することを義務化している。
意見交換で、日本看護協会の鎌田久美子参考人は、「グループホームの設置主体も営利法人の運営する事業所の増加など多岐に渡る。グループホームの質の担保も必要」と指摘。さらに実態を把握した上での基準等の見直しとともに、「外部評価を実施する仕組みの構築を図っていただきたい」と求めた。
日本知的障害者福祉協会の久木元司参考人も「グループホームは閉鎖的な環境になりがちで、人権擁護の視点からも協議会の設置など『見える化』が地域の中で必要」と指摘した。
厚労省はこうした指摘を踏まえて検討していく意向を示した。