医療保険部会が後期高齢者の窓口負担2割や改定率などを議論(12月23日)
社会保障審議会の医療保険部会は12月23日、後期高齢者の窓口負担2割の導入や診療報酬改定率などの大臣折衝の結果、公的価格評価検討委員会の中間整理、オンライン資格確認等システムの導入状況について報告を受けて議論した。
「2割負担」導入 丁寧な周知が必要
後期高齢者の窓口負担2割の導入時期が想定上最速の来年10月になったことに対し、健保連や協会けんぽの代表は評価する一方、さらなる改革に向けた議論や医療費適正化の取り組みを求めた。実施に向けては、多くの委員から丁寧な周知・広報が必要との意見があがった。
診療報酬の本体改定率+0.43%について、日本慢性期医療協会の池端幸彦委員は「引き上げにはなったが、看護の処遇改善や不妊治療の保険適用の分を除くと極めて厳しい改定といえる」と述べた。日本医師会の松原謙二委員は「コロナ禍の大変な状況のなかでの引き上げに感謝している」と述べる一方、リフィル処方箋の活用促進が盛り込まれたことには「本当に適切なのか議論が必要だ。中医協での議論を重んじてほしい」と要請した。
公的価格評価検討委員会の中間整理で示された看護・介護職員の処遇改善について池端委員は「医療機関で働く介護職員の対応が抜け落ちている」と指摘し、看護補助者のあり方の議論を求めた。
これに対し厚労省は、経済対策と同様に看護補助者等のコメディカルの処遇改善への柔軟な運用を認めていることを説明した上で、「その外側の問題については中医協で全体的に議論していくことになる」と答えた。
オンライン資格確認 導入増加も運用施設割合低く
オンライン資格確認等システムについて本格運用開始の10月20日から約2か月経った12月19日時点の導入状況をみると、①顔認証付きカードリーダー申込数は13.0万施設で全施設の56.6%②準備完了施設は3.1万施設で全施設の13.7%③運用開始施設は2.1万施設で全施設の9.3%―となっている。準備完了施設と運用開始施設は10月20日時点よりも1万施設増加した。
健保連の佐野委員は「運用施設の割合が低いことは大変残念だ。令和5年3月末までに概ねすべての医療機関等での導入を目指すとしているが、今までの延長線上の取組みでは目標の達成は厳しいのではないか」と述べた。
一方、本格運用開始後に異なる個人番号が登録された事案が11月末までに33件あったことが報告された。うち1件は薬剤情報が閲覧された事案。