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謎の新興国アゼルバイジャンから|#30 再び「民主主義と独裁」について考える―リベラル・独裁・ポピュリズム

香取 照幸(かとり てるゆき)/アゼルバイジャン共和国日本国特命全権大使(原稿執筆当時)

※この記事は2018年7月23日に「Web年金時代」に掲載されました。

みなさんこんにちは。
本稿は外務省とも在アゼルバイジャン日本大使館とも一切関係がありません。全て筆者個人の意見を筆者個人の責任で書いているものです。内容についてのご意見・照会等は全て編集部経由で筆者個人にお寄せ下さい。どうぞよろしくお願いします。

ベルギーに善戦した日本の戦いぶりは当地でも評判

2018ロシアワールドカップはフランスの優勝で閉幕しました。
ここアゼルバイジャンでもサッカーは人気ナンバーワンのスポーツ。ワールドカップ期間中は全試合ライブでテレビ中継がありました。開催期間中は大使仲間も顔を合わせればW杯の話題ばかり。大使たち、みんななかなかのサッカー通でいろんな解説を聞かせてくれるのでとても勉強になりました(笑)。
今回の大会は番狂わせ続きで、優勝4回イタリアの地区予選敗退、前回優勝ドイツのグループリーグ敗退、スペイン・ポルトガル・アルゼンチンの決勝リーグ初戦敗退と強豪が早々と姿を消す中、決勝リーグ初戦でFIFAランク3位のベルギー相手にあと一歩にまで迫る善戦をした日本の戦いぶりは、当地でも大いに評判になりました。

この試合、私は当地のホテルが館内に開設した「臨時スポーツカフェ」で観戦しました。片やベルギーサポーター、片や日本サポーターがそれぞれ陣取っての応援になりました。
先方は大使以下おそろいのオレンジのユニフォーム、red devilsグッズを持っての応援です。日頃仲のいいオランダ大使もハンガリー大使もこの日ばかりは「ごめん。今日は敵同士!」と先方陣営に参加です。

Red devilsのユニフォームで登場のベルギー大使。
手にはベルギービール。大のサッカーファンです。

前半終わって0-0。先方は余裕十分で、「なかなか頑張ってるじゃない、日本。」などと、まるで幕下に胸を貸す横綱の風情。ところがところが、後半早々に日本が先制、さらに2点目のゴールも決めると、想定外の展開に先方陣営声もなくお通夜のよう。何とか追いつき、後半ロスタイム残り20秒で逆転した時はもう、歓喜というよりは放心状態。聞こえてくるのは安堵のため息ばかりでした。

試合翌日のベラルーシのナショナルディレセプションでも、翌々日のアメリカ合衆国独立記念日のレセプションでも、各国大使始めたくさんの人(中にはよく知らない人まで)が、「いい試合だった」「日本は善戦でしたね」「あとちょっとだったですね」と声をかけてくれました。
そうやっていろんな人から褒められるのはとても嬉しかったのですが、「congrats, you did well!!」とあんまり何度も言われるので、「congratsって、、負けたんだよねえ、日本。そこまで『格下』って思われてたのか、なんだかなあ、」と(まあ実際かなりの格下ではあるんですが)ちょっと複雑な気分でした(笑)。

7月15日の決勝戦はフランス・クロアチアともに大使館自らホテルに特設会場を設置しての応援でした。大使たちもそれぞれの陣営に別れて(笑)応援です。クロアチア大使とも仲がいいので悩みましたが、フランス在住経験ありということでここはフランス陣営に参加しました(笑)。
三色旗が配られ、みんなで「Allez les bleus!!!」の大合唱。

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