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謎の新興国アゼルバイジャンから|#34 私の教養主義復権論(その2)自分のアタマで考えることの重要性

香取 照幸(かとり てるゆき)/アゼルバイジャン共和国日本国特命全権大使(原稿執筆当時)

※この記事は2018年10月22日に「Web年金時代」に掲載されました。

本稿は外務省とも在アゼルバイジャン日本国大使館とも一切関係がありません。全て筆者個人の意見を筆者個人の責任で書いているものです。内容についてのご意見・照会等は全て編集部経由で筆者個人にお寄せ下さい。どうぞよろしくお願いします。

バクーで世界柔道選手権が開催!

みなさんこんにちは。
9月20日から27日まで、ここバクーで世界柔道選手権が開催されました。
柔道はレスリングと並んでアゼルバイジャンの人気のスポーツの一つです。元々格闘技が盛んなアゼルバイジャン、オリンピックでの金メダリストは6人、うち4人がレスリング、柔道が1人です*。

*2008年の北京オリンピック男子73キロ級で優勝したエルヌル・ママドリ選手。この時の決勝戦は中国選手相手に開始13秒での一本勝ち。オリンピック史上最速の一本勝ちだそうです。

今年の柔道選手権では体重別男女各7階級と男女混合国別団体戦が行われ、日本は女子5階級・男子2階級、そして団体戦の計8個の金メダルを獲得しました。特に女子は全階級で決勝戦まで進み、日本人同士の決勝戦となったクラスもあって3個の銀メダルと1個の銅メダルを獲得し、出場選手全員がメダリストとなりました。

開催国アゼルバイジャンは銀1個、銅1個。男子73キロ級では準決勝で世界ランキング1位の日本の橋本選手とアゼルバイジャンのヘイダロフ選手が当たりました。当日は土曜日で私も観戦に出かけていましたが、アリエフ大統領が観戦していたこともあって場内は異様な盛り上がりですごい大声援でした。
結果は延長戦の末、僅差で日本の橋本選手が勝ちましたが、ヘイダロフ選手は3位決定戦に勝って大会最初のメダルをアゼルバイジャンにもたらしました。

最終日の団体戦では準々決勝でロシアとアゼルバイジャンが当たりました。この日はバクー訪問中のロシアのプーチン大統領がアリエフ大統領共々観戦にきており、両国の大統領が見守る中での戦いとなりました。
結果はロシアの勝ち。ロシアは準決勝に進み、フランスに敗れましたが銅メダルを獲得しました。

大会最終日、団体戦表彰式後の記念撮影。さすが柔道、選手・コーチ・役員など総勢80人はいようかという大代表団。在留邦人数よりも多い(笑)。最上段向かって左のネクタイ姿は井上康生男子監督(シドニーオリンピック男子100キロ級金メダリスト)です。

最終日の団体戦を観戦するアリエフ大統領とプーチン大統領。右はアリエヴァ第一副大統領。

さて。ここからは前回の続きです。
「正解を教える―学ぶ教育」の負の側面について考えてみたいと思います。

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