謎の新興国アゼルバイジャンから|#36 差別と向き合い、乗り越える勇気―LGBT・ハンセン病訴訟―
みなさんこんにちは。
「寄り道」の2回目です。
「私はLGBTQ(性的少数者)の権利のための闘いを信じているし、性的指向や性に基づいた差別はどのような形でも間違っていると確信します」というテイラー・スウィフトさんの投稿に触発されたわけではありませんが、今回はLGBTに関係する話をします。
過日、休暇をいただいてCityに勤める友人に会いに週末のロンドンに行きました。彼の自宅の近所にとあるパブがあり、こんな看板が出ていました。
皆さんはアラン・チューリングという名前を聞いたことがあるでしょうか。第二次世界大戦中、解読不能と言われたナチスドイツの暗号システム「エニグマ」を解読し、第二次大戦を連合国の勝利に導いたイギリスの天才数学者であり、現代のコンピューター理論の基礎を作った人です。
日本でも人気の俳優ベネディクト・カンバーバッチが主演し、彼の生涯を描いた「イミテーションゲーム」という映画をご覧になった方も多いと思います。
チューリングは同性愛者でした。
1967年までイギリスでは同性愛は刑法犯罪(!)であり、戦後、彼はそのことで逮捕され、裁判にかけられて有罪判決を受けます。研究を続けるため、彼は収監と引き換えに化学的去勢のためのホルモン治療(女性ホルモンの投与*)を受けることを選択します。
過酷なホルモン治療の末、1954年、彼は自殺します。41歳でした。
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