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適用拡大広報コンテンツ作成に向けたアンケート等について審議を開始

厚生労働省の被用者保険の適用拡大に関する効果的な広報のためのアドバイザー会議(座長=上田憲一郎・帝京大学経済学部経営学科教授)は9月1日の初会合で適用拡大に関する企業アンケートなどについて審議した。この会議は、2024年10月から従業員数が50人を超える企業等に被用者保険の適用範囲が拡大されることに伴い、いわゆる「就業調整」の問題に対する好事例をアンケートを実施したうえで集約し、具体的なメリットを広報コンテンツやその活用法について検討するために設置された。

今後のスケジュールとしては、2023年9月~11月にアンケート調査を実施・分析し、11月中に2回目の、2024年1月に3回目のアドバイザー会議を開催して広報コンテンツの基礎資料を作成する予定だ。その後、各コンテンツや好事例集の作成に取りかかり、2024年3月には年金広報検討会に報告することになっている。

被用者保険の適用拡大に関する効果的な広報のためのアドバイザー会議資料より。

この日は、被用者保険適用拡大に向けた広報の取り組みについて年金局から報告があったほか、アンケート調査などの受託事業者がアンケートの構成として、①企業情報②保険適用に伴う取り組み③保険適用による変化――といった案を示した。委員からは以下のような意見が出た。

  • 取り組みがうまくいっている企業の傾向をピックアップして分析することが大切。その企業が何をしたのかテキスト分析をしてほしい。また、うまくいった企業とうまくいってない企業の差を見るのも大事。リテラシーやこれまでやってきた取り組み、専門家と連携しているかなどの情報もまとめて調査をしたほうがいい。

  • それぞれの企業が、いつからその取り組みを始めたのかといった着手のタイミングや、どのくらい実際の適用の前からスタートしたのかという時期を加えてほしい。

  • 短時間労働者が短時間労働である本当の理由はさまざまで非常に細分化されているため、メリットやデメリッは人や立場によって違うということが重要。そうしたことに合意して雇用している事業者に対して何をすればいいのか、どういう選択をすればいいのかをしっかりと指し示すような広報コンテンツというのもしっかり考えていかなければならない。

  • 対象となる企業にはグラデーションがあるため、あてはまらない事例を作ってしまったらふさわしくないのではないか。

  •  適用拡大については経営者だけではなく、人事担当者などがサポートしているケースもあるので、実務者の聞き取りをしてほしい。

  •  とにかく書きやすく回答しやすいことを意識してほしい。

  •  企業情報のうち企業全体の経常利益などは中小企業が回答しづらい。

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