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三宅社労士の年金実務セミナー|#15 妻が死亡した場合の遺族年金4パターン

三宅 明彦 (みやけ あきひこ)/社会保険労務士

遺族年金は、夫が亡くなって遺された妻や子供が受給するケースが多いと思われます。一方、先に妻が亡くなった場合にはどのようになるのか、という質問をよく受けます。そこで今回は、夫婦と子(15歳・1人)が一緒に生活していた一般的な例で、妻が亡くなった場合の遺族年金について見ていきます。遺族年金にはさまざまな要件がありますが、今回は妻の年金加入歴と年齢、夫の年齢と年収を変えた4パターンで説明します。


事例①
妻は国民年金のみに20年加入して死亡

妻は40歳で死亡/夫は46歳で子(15歳)と同居/夫の年収は850万円未満

妻は夫に扶養されている期間(第3号被保険者期間)を含め、国民年金のみに20年間加入していました。年金保険料についても第3号被保険者期間以外は自分で納付していたとします。この妻の年金加入期間は25年ありませんので、遺族年金が支給されるには、妻が「保険料納付要件」(加入期間の3分の2以上が納付または免除期間であるか、直近の1年間に未納期間がない)を満たしている必要があります。

妻が保険料納付要件を満たしていれば、「妻によって生計を維持していた(生計維持要件)」夫が、子と生計を同じくしている場合に、遺族基礎年金を受給できます。なお、「妻によって生計を維持していた夫」というのは、妻に扶養されていた夫、ということではありません。生計維持要件は、夫と妻のどちらが扶養していた、扶養されていたかを問うものではありません。

夫の生計維持要件は、「妻と生計を同じくしていること(生計同一要件)」「妻の死亡の前年の年収が850万円未満、または所得が655万5000円未満であること(収入要件)」の両方を満たしている場合に認められます。

この事例の夫は子及び妻と生計を同じくし、収入要件も満たしていますので、妻が死亡した場合には「子のある配偶者」として遺族基礎年金を受給できます。この場合の「」とは、「18歳到達年度末までにある子、または20歳未満で1級・2級の障害等級に該当する子」に限ります(子の要件)。この事例では、子は15歳で障害がないので「子の要件」を満たしています。

したがって、夫は妻の死亡時から、遺族基礎年金795,000円(定額で老齢基礎年金の満額相当額)と子の加算228,700円(子が1人の場合)の合計1,023,700円を受給できます。遺族年金の請求手続を完了すると、夫の口座に振り込まれます。ただし、3年後に子が18歳に到達してその年度末になると、それまで受給していた遺族基礎年金の受給権がなくなります(=失権)。

また、死亡した妻の子(この事例では夫の子でもある)も遺族基礎年金を受給できますが、夫が遺族基礎年金を受給している期間中、子の遺族基礎年金は支給停止となります。(子に生計を同じくする父または母がいる場合も、子の遺族基礎年金は支給停止となります。)

この事例では夫が遺族基礎年金を受給中、子の遺族基礎年金は支給停止となり、子が18歳に到達した年度末になると、子の遺族基礎年金の受給権は失権となります。ですから、子が遺族基礎年金を受給することはありません。

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