医療的ケア児の新判定基準の導入や基本報酬の設定が求められる(7月9日)
厚労省の「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」は7月9日、令和3年度の障害福祉サービス等報酬改定の検討のため、関係団体からのヒアリングを開始した。ヒアリングは7~8月にかけて計46団体から行う予定だ。
今回は、①全国医療的ケア児者支援協議会②難病こども支援全国ネットワーク③全国精神保健福祉会連合会④きょうされん⑤全国肢体不自由児者父母の会連合会⑥日本肢体不自由児療護施設連絡協議会⑦日本失語症協議会─の7団体の意見を聴取した。
医療的ケア児の支援で、医療的ケア児の新判定基準の導入や基本報酬の設定を求める意見や、医療的短期入所サービスの確保と報酬の引き上げの要望などが出された。
廃止が注目される食事提供体制加算や送迎加算の継続を訴える意見も出された。
医療型短期入所サービスの確保と報酬の引き上げを
全国医療的ケア児者支援協議会は、「医療的ケア児の新判定基準の導入」を求めた。厚労省の調査研究事業により、医療的ケアの実態や家族の行っている見守りの必要性などを踏まえた14項目の新判定基準が提示されたことを受けてのこと。また医療的ケア児について新たな障害類型に位置づけ、基本報酬を設定するよう訴えた。
難病こども支援全国ネットワークは、医療的ケアが必要な子どもの支援の充実を要請。「子どもに対する訪問看護は、医療保険制度のひとつとして実施されているが、診療報酬上の制約が 多く長時間や頻回の利用は難しいのが現状」とし、「障害福祉サービスに訪問看護を新たに位置付け、現在、必要な障害福祉制度の利用に結びついていない医療依存度の高い利用者への支援を確保する必要がある」と主張。さらに、いわゆる『歩ける医療的ケア児』への障害福祉サービスの利用促進を図る観点から、「有効かつきめ細やかな加算が必要」と求めた。
さらに「今般のコロナ禍において、医療的ケア児のケアを全般的に担っている家族から、自身が感染症に罹患した際や災害時の、子どもの預け先に関する大きな不安が多数寄せられている」などと報告。「医療型短期入所サービスなどレスパイトやショートステイのサービス拠点の確保、及びその報酬を現状の1.5倍程度の水準に引き上げること。医療的ケア児とその家族を対象とした有効かつきめ細やかな加算が必要」と訴えた。
全国精神保健福祉会連合会は、いわゆる「介護保険優先原則」の撤廃を主張した。
サービス内容や機能から、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合は、基本的には、この介護保険サービスに係る保険給付を優先して受けることとなる。
同連合会は、障害者総合支援法は、障害者の自立生活のための法律であり、「介護保険とは本質的に異なるもの」と指摘。同法のサービスを介護保険のサービスに相当すると見なすべきでないとした。また精神障害やその支援の独自性が介護保険事業所に理解されるよう、事業所やヘルパーに対して精神障害に関する研修を義務付けるなどの仕組みを訴えた。
そのほか、食事提供体制加算の継続も求めた。
きょうさんも、食事提供体制加算と送迎加算の継続を求めた。
全国肢体不自由児者父母の会連合会は、居宅介護は、最重度の障害支援区分6でも、最大で1か月あたりの利用時間は92時間となっていることを上げ、「1日3時間のヘルパー介助でどれだけの支援が受けられるというのでしょうか」などと提起し、支援時間の改正を強く求めた。
日本肢体不自由児療護施設連絡協議会は、福祉型障害児入所施設における職員配置基準の引き上げを要望。4対1以上の職員配置基準が必要とした。
日本失語症協議会は、各地域において失語症に関するサービスを整備していくうえで、「共生型サービス」の活用が有効な場合もあると指摘。その推進には、単位数が低いことや適切な加算体制がないことの解決が必要とした。