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年金・税金 わたしの相談事例 公開します|#1 被扶養者のコロナ特例と適用拡大

小野田 理恵子(おのだ りえこ)/小野田社労士・FPオフィス代表

潜在看護師のA美さんは、子どもがまだ小さいため、再び外に出て働くことを躊躇している状況ですが、なかなか収束に向かわないコロナ禍の中で、医療従事者が不足している現状を見聞きし、何か役に立てることはないかと考えていました。そんな矢先にワクチン接種に関わる期間限定の仕事の紹介があり、家族の協力を前提に前向きに考えたいと思いました。

ところが労働条件を確認すると、看護師の時給は比較的高く交通費も支給されるため、週20時間未満の勤務でも、社会保険の被扶養者の判断基準の年収130万円(月額108,333円)未満を大きく超えてしまいそうです。そうなると夫の扶養家族から外れる必要があるため、A美さんは就業をためらってしまいました。

実は現在、このA美さんのようなケースに適用される期間限定の特例(※)があります。いま日本中で、短期集中的に新型コロナウイルスのワクチン接種が進行中ですが、この業務に従事する医療職の確保が喫緊の課題となっています。そのため、ワクチン接種業務に従事する医療職の健康保険の被扶養者・国民年金の第3号被保険者の収入の確認について、臨時的な特例が設けられているのです。
(※)新型コロナウイルスワクチン接種業務に従事する医療職の被扶養者の収入確認の特例について(保保発0604第1号)

通常、各保険者は、被扶養者の認定および資格確認の際に、被扶養者の過去の収入、現時点の収入または将来の収入見込みなどから、今後1年間の収入を見込みますが、今回の特例では、医療職がワクチン接種業務に従事したことによる給与収入については、年間収入に算定しないこととされています。

つまりA美さんは、ワクチン接種業務に従事して年収が130万円以上になっても、扶養家族のままでいられるのです。この特例により、130万円の壁がネックになって働くことをためらったり、就業調整したりしている医療職を、ワクチン接種業務の戦力として確保できることが期待されています。この特例についての具体的な取扱いを<図表1>にまとめました。

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