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社会福祉法等改正案の審議が開始(5月12日)

地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案」の国会審議が12日、スタートした。

加藤勝信厚生労働大臣が衆議院本会議にて法案趣旨を次のように説明。「少子高齢化が急速に進行し、個人や世帯の抱える課題が複雑化・複合化している。こうした状況を踏まえ、市町村の包括的支援体制の構築、地域包括ケアシステムの推進、医療・介護のデータ基盤の整備等を通じて、全ての地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現を図るため、この法律案を提出した」

同法案には、①複雑化・複合化した支援ニーズに対応する市町村における包括的な支援体制の整備を行う「重層的支援体制整備事業」の創設及びその財政支援②社会福祉連携推進法人制度の創設③介護福祉士養成施設卒業者への国家試験義務付けの経過措置の延長④医療・介護のデータ基盤の整備の推進⑤認知症施策や介護サービス提供体制の整備の推進─に関する規定が盛り込まれている。

施行は一部を除き令和3年4月から。

地域ごとの中長期的な人口動態の変化を踏まえ計画を策定

代表質疑で、自民党の長尾敬議員が「新型コロナウイルス感染症が蔓延している中で介護施設等を支援していく決意と2025年、2040年を見据え高齢者が安心して暮らしていける介護サービス基盤をどのように構築していくか」を安倍晋三総理大臣に尋ねた。

安倍総理はまず、新型コロナウイルス感染症について、「国としても現場の実情を踏まえながら機動的に必要な支援を行っていく」と強調した。

さらに「2040年に向けて都市部を中心として介護ニーズが増え続ける自治体もあれば人口が減少する自治体もあり、今後の介護サービス基盤の整備に当たってはこのような地域ごとの人口動態の変化を踏まえ、介護サービスの需要に応じて過不足なきように進める必要がある。改正法案では、市町村の介護保険事業計画の策定にあたり、新たに人口構造の変化の見通しも勘案することにしており、今後は各自治体において2025年や2040年といった中長期的視点も踏まえて介護サービスの計画を立て、必要な整備を進めていく」と答弁した。

長尾議員は、「都市部の高齢者を支えていく上でどのように介護サービス基盤を構築していくのか、その中で民間事業者をどのように活用を進めていくのか」と尋ねた。

加藤厚労大臣は、「介護付きホームやサービス付き高齢者向け住宅などの高齢者住まいが多様なニーズの受け皿になっている。このため地方自治体が作成する介護保険事業計画においてこれらの設置状況などを踏まえたうえで特別養護老人ホームなど各種介護サービスの必要な整備が盛り込まれるよう今般の法案において見直しを行う」と説明した。      

三つの支援の一体的実施で相乗効果が見込まれる

今般、社会福祉法を改正して創設する「重層的支援体制整備事業」は市町村の任意事業。取り組む市町村が相談支援・参加支援・地域づくり支援の三つを一体的に実施することになっている。長尾議員は三つの支援を一体的に実施する必要性などを尋ねた。

加藤厚労大臣は、三つの支援の一体的実施を通じ、▽相談支援で明らかとなった課題に応じた多様な社会参加のメニューが整備されること、▽地域において新たな居場所や社会資源が開発されること、▽人と人とのつながりが強化され、地域住民の気づきが生まれやすくなり、周囲の人が課題を抱える本人に声かけをして相談支援につながりやすくなる─という「相乗効果が見込まれる」と指摘。「三つの支援を一体的に行う必要があると考えている」と説明した。

また今回の法改正で期待されることとして、▽本人だけではなく世帯全体の課題が包括的に受け止められる▽地域での必要な支援につながるとともに、地域での支え合いが強化される▽住民が安心して暮らせる地域社会が生み出されることが期待される─などをあげた。

このほか、立憲民主党などが提出した「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」など3法案も同時に審議された。

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