負担の程度に応じた訪問診療や往診の診療報酬の評価を――中医協が在宅医療を議論(2023年10月4日)
中医協総会は10月4日、令和6(2024)年度診療報酬改定に向けて、在宅医療をテーマに議論を行った。
在宅医療の訪問診療や往診では、負担の程度に応じて適切な評価を行うことが求められており、メリハリのある評価を行うべきとの観点での論点が示された。また、今後、在宅医療のニーズに応えるために、サービスの供給量を増やすことが課題となっており、在宅医療を担う医療機関の裾野を広げることも課題となっている。
頻回に訪問診療を行う場合の施設入居時等医学総合管理料を適正化
訪問診療については、「在宅医療に従事する医師1人当たりの在宅患者訪問診療料の算定回数は平均で月46.8回であったが、一部月300回を超える医療機関も存在しており、医師1人当たりの在宅患者訪問診療料算定回数が多いほど、高齢者施設等の患者に訪問診療を提供している割合が高い」とのデータが示された(図1)。高齢者施設に頻回に訪問診療を行う場合の施設入居時等医学総合管理料などの評価の適正化が課題とされた。また、要介護度など患者の状態に応じて訪問診療の負担が変わるので、それに対応した包括的支援加算などの見直しの必要性が論点となった。
往診については、24時間の往診体制等を有していることを評価する在宅療養支援診療所・病院で、訪問診療をほとんど行っていないのに、往診料を多く算定している医療機関がある。そういった医療機関は夜間・深夜・休日往診加算の算定が多いというデータが示された(図2)。そのような往診は現状の往診料の評価と整合的ではないため、往診の実態の特性を踏まえた報酬設定を検討することが論点となった。
ICTによる緩和ケア患者への連携の評価が必要
在宅における緩和ケアについては、人生の最終段階における意思決定支援に関する情報をICTで共有している患者は、急性の不安対応目的の入院が減り、容体が急変した際の入院先として緩和ケア病棟や地域包括ケア病棟が多くなるとのデータが示された(図3)。
このため、緩和ケアを必要とする患者へのICTを用いた連携の評価を検討することになっている。
訪問栄養食事指導については、潜在的なニーズは高いと想定されるものの、地域での取組みは十分に広がっていないとの指摘がある。このため、在宅療養支援診療所・病院の役割や都道府県栄養ケア・ステーションとの連携のあり方を検討する。