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コロナ対策と今後の社会保障について厚労省の鈴木事務次官らが講演―社会保険旬報 地方から考える社会保障フォーラム(8月21日)

地方議員が参加する第22回【社会保険旬報 地方から考える「社会保障フォーラム」セミナー】が8月21日に都内で開催され、全国にオンライン中継された(主催:地方から考える「社会保障フォーラム」事務局)。厚生労働省の鈴木俊彦事務次官、伊原和人政策統括官、老健局総務課の栗原正明企画官と、医療科学研究所の江利川毅理事長が新型コロナウイルス対策やポストコロナの社会保障のあり方などについて講演した。
(※編集部より 講演について、社会保険旬報 2020年10月11日号と10月21日号に詳しく掲載します。)

 

ポストコロナの社会保障では「被用者概念」の再検討を 鈴木事務次官

鈴木俊彦事務次官は、「新型コロナウイルス感染症~対策の現状と今後」と題し、これまでの新型コロナウイルス対策と今後の見通し、ポストコロナの社会保障の課題を示した。  

鈴木事務次官

鈴木事務次官は、新型コロナウイルス感染症の国内の発生状況について世界各国と比較しつつ報告し、「世界に目を転じると、日本は感染者数の推移だけを見ても、まだまだ低水準。感染症対策の究極の目的は、感染したうえで、重症になる方やお亡くなりになる方をいかに抑えるかにある。人口あたりの死亡者数を見ると、日本は圧倒的に少ない。したがって、これまでの我が国の感染症対策は決してうまくいっていないということではない。WHOでも日本の対策は非常に評価されている」と述べた。

  新型コロナウイルス感染症に対応する医療提供体制については、8月12日時点で「ピーク時に確保を見込んでいる重症患者受入れ病床数」は3644病床、そのうち現在確保しているのは2838病床であり、現時点の重症者数は192人と報告。「現在は、第一波のときのような、医療提供がひっ迫した状況にはない。油断せず、重症者が今後、増加することも十分に視野におき、各自治体に点検してもらって必要な病床の確保を進めていただく」と述べた。

  ポストコロナの社会保障については、フリーランスとして働く人々が支援から零れ落ちぬよう、「被用者概念の再検討」が重要との認識を示した。鈴木事務次官は、「我が国の労働・社会保障は社会保険を中心にしており、社会保険は被用者とそうでない方の二大体系である。『被用者』の線引きが今のままでよいのか、保障体系の根幹にかかわる問題だが、そこについてもう一度、再構築していかなければいけない」と述べた。  


日常生活のオンライン化と新しい働き方が今後の課題 伊原政策統括官


伊原政策統括官

厚労省の伊原和人政策統括官(総合政策担当)は、「新型コロナと社会保障」をテーマに講演した。当面の課題としては、「医療を守る」「雇用を守る」「生活を守る」の3点をあげた。医療については「PCR等の検査体制の強化や病院への支援、介護施設等でのクラスター防止などに取り組んでいる。第2波といわれるなか全国各地で感染者が発生しているが、日々こうした状況に対応している」と述べた。

  ウイズコロナ・ポストコロナを見据えた課題としては、◇日常生活のオンライン化(オンライン診療、行政手続き)◇新しい働き方(テレワーク、フリーランス)◇エッセンシャルワークの重要性◇社会保険・労働保険の対象とならない者への対応(非正規、フリーランス)◇サプライチェーンのあり方◇東京一極集中の是正◇地方創生◇地域社会のあり方◇経済・財政への影響―を課題にあげた。  


介護保険におけるコロナ対策を説明 栗原企画官


栗原正明企画官

厚労省の栗原正明企画官(老健局併任)は、「介護保険制度のこれから」をテーマに講演した。今年6月に公布された制度改正の内容をはじめ、次期介護報酬改定の論点、新型コロナウイルス感染症への対応について解説した。 

新型コロナへの対応では、令和2年度第一次補正予算で措置した介護施設等における感染防止対策の支援や介護サービス事業所等に対するサービス継続支援事業、第二次補正予算で措置した感染症対策の徹底支援や介護職員への慰労金の支給などを盛り込んだ緊急包括支援交付金、事務連絡で示した「高齢者施設における新型コロナウイルス感染症発生に備えた対応等」などを説明。

  栗原企画官は、「こうした事態になっても介護サービスを途切れさせてはいけない。継続的・安定的なサービスが必要であり、補正予算でも対応したし、今後の介護報酬改定も考えていかなければいけない」と述べた。  


人生100年時代では地域に高齢者の働く場の確保を 江利川医研理事長


江利川理事長

医療科学研究所の江利川毅理事長(元内閣府事務次官・元厚生労働事務次官)は「活力ある長寿社会に向けて地方自治体への期待」とのテーマで講演した。 日本社会の構造的な課題として「高齢化への対応」「少子化への対応」「就職氷河期世代への対応」を挙げ、制度改正等は国が行うが、具体的な対応においては基礎的自治体の取り組みに期待したいと参加者に呼びかけた。

  江利川理事長は、高齢化・長寿化で「人生100年時代」がやってきた今、就労意欲のある高齢者が無理なく働ける場が身近な地域にあることが望ましいとし、自治体の取り組みに期待を示した。

  「少子化は国家存亡にかかわる重い問題」と述べたうえで、少子化対策に成功した自治体として岡山県奈義町を取り上げた。子育て支援策として子どもが大学生になるまでの教育費を町が支援していることや、若い家族に住宅を提供していることなどを紹介。好事例を参考に各自治体で取り組みを進めるよう訴えた。

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